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・予想以上の米GDPも米ドル上昇とはならず
・米GDPで株価下落、ECBは据え置き発表でユーロは横ばい
・利回りの高騰と地政学的リスクの高まりからゴールドは上昇再開
好調な米GDPも米ドル上昇とはならず
今週も世界市場は、期待外れの企業決算報告や債券市場でのボラティリティの高まり、そして地政学的危機の進展など、引き続き様々なリスク要素への対応に追われました。
明るいニュースとしては、米経済の成長率が、第3四半期に年率換算で前期比4.9%となり、予想を大幅に上回りました。この成長には、企業による在庫積み増しの要素もありましたが、個人消費と公共投資が主にこの上昇を牽引しました。
全体として、昨日の米GDPは市場には朗報であったにもかかわらず、FRBの利上げ観測がやや後退した結果、米国債利回りも小幅低下したため、米ドルは上昇しませんでした。どうやら市場は、予想を下回ったコアPCE(個人消費支出)インフレ速報値に注目していたようで、FRBが引き締めサイクルの任務を果たしたとの憶測が広まっています。
どちらにせよ、米ドルは現在、主要経済の中で最も堅調な経済成長を享受しており、また最も高い実質利回りを提供しています。この二つの要素によって、米ドルは安全な避難所としての役割とともに、為替市場での代わりとなる通貨の欠如から、サポートされ続ける可能性があります。
株価下落、ECBは金利据え置き発表
米株式市場は昨日、さらに下落し、今週は2%ほどの損失に向かっています。驚くことに、今週の期待外れのハイテク大手の決算報告を受けて、ハイテク株が重荷となっており、高騰する利回りとともに、株式の伸びきったバリュエーションに圧力がかかり始めています。
昨日の好調な米GDPと米国債利回りの後退にもかかわらず、株式が下落したことは、特にハイテク企業が株式市場を牽引しなくなったことも含めて、懸念すべき事態です。投資家はさらなるリターンを追い求めるよりも、利益確定に勤しんでおり、世界のマクロ環境の悪化への懸念が、来年の利益成長への投資の抑制となっているようです。
ヨーロッパでは昨日、ECBが金利の据え置きを発表し、しばらくの間据え置く可能性を示唆したことから、高金利がユーロ圏経済に浸透することを見守ることになりました。ラガルド総裁は、ユーロ圏の経済成長の減速を強調しましたが、事業調査が警告しているような差し迫った景気後退にそれほど懸念は表しませんでした。
ユーロ/ドルは、昨日のECBによる据え置き発表や米GDP数値を受けても、比較的安定しており、横ばいで取引を終えました。しかし、欧米における経済成長と実質利回りの乖離によって、引き続きユーロ/ドルは下振れリスクとなっています。地政学的な緊張によるエネルギー価格の高騰も、ユーロ/ドルには重荷となる可能性があります。
米軍のシリア空爆でゴールドと原油価格は上昇を再開
中東では、米国がシリアのイランの関連施設を空爆したことから、緊張が高まっています。米政府によると、この空爆は、イスラエルとハマスの間で紛争が始まって以来、中東の駐屯米軍に対する一連の攻撃への報復としての自衛であると説明されています。
ゴールドと原油価格は、すでに今月、地政学的な緊張を反映する市場のバロメーターとして機能しており、この余波で上昇しました。ゴールドはまた、1オンス1,985ドル付近辺りで上昇が抑制され続けているものの、実質利回りの後退からも恩恵を受けています。
市場の最大の懸念となっているのは、この紛争にイランが参戦するかどうかでしょう。イランが参戦しない場合、安全資産としてのゴールドへの需要は低下するかもしれません。ウクライナがロシアによって侵略された時のように、状況が安定している限り、市場は地政学的な緊張に次第に慣れていく可能性があります。
本日は、一連の米経済データの発表が予定されていますが、特にFRBがインフレの目安として利用する米コアPCE指数の発表が注目されるでしょう。