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・今週末に中東戦争への発展の可能性でゴールドと原油価格続伸
・FRB議長の発言で債券売りは若干一服、米ドル安定
・不透明な見通しから株価下落、FRB議長は利上げの可能性を維持
中東での緊張情勢が市場にも反映
中東での緊迫した情勢は、週末に他国を巻き込んで激化する可能性を警戒して、本日の市場のセンチメントにも重くのしかかっています。イスラエルによるガザ地区への地上戦が差し迫っているとの報道から、原油先物は上昇し、週次で2%から3%ほどの上昇に拡大しています。
ゴールドは、今回安全な避難所として扱われており、紛争拡大のリスクが高まるにつれて、3か月ぶりの高値である1オンス1,980ドルを突破して上昇しました。レバノンの武装組織ヒスボラがイスラエル軍に対してロケット弾を発射し、イスラエル北部境界では警戒感が高まっています。また米海軍艦は、イランの支援を受ける反政府武装勢力フーシによると思われるイエメンからの3発のミサイルを襲撃しました。
この紛争が中東全体を巻き込む戦争となることに市場は大いに危惧していることから、最悪のシナリオとなった場合、原油価格とゴールドはさらに上昇し続ける可能性があります。
強弱混合の決算報告と地政学的リスクから株価下落
地政学的リスクの高まりは、株式市場にも大きな懸念材料となり始めています。市場はすでに、金利の不透明な見通しへの対応に追われており、このタイミングでの新たな原油価格急騰による更なる混乱は望んでいません。
第3四半期の決算期も市場の期待通りとは言えません。今週の決算報告は強弱まちまちとなっており、特にテスラの減益発表により、来週のハイテク大手による決算報告に警笛を鳴らすことになりました。
S&P500 とナスダックは昨日、2週間ぶりの安値で取引を終えました。ネットフリックスの株は16.1%上昇しましたが、広範な指数全体を押し上げられませんでした。
FRB議長は条件付きの一時停止を示唆
しかし今のところ、米株式市場の重荷となっているのは、FRBによる金利を「より高く、より長く」維持するとの姿勢で、米10年債利回りは昨日、5%をやや下回る辺りまで上昇しました。5%の10年債利回りは、経済上何かが壊れる境界線として捉えられており、地政学的リスクとともに、米株式市場での強気派がこのような環境を乗り切るのは難しいでしょう。
FRBが方針を転換して市場の救済となるとの期待は、今のところ打ち消されており、昨日のFRBパウエル議長の発言によって、市場はFRBが姿勢を軟化させないことを確信したようです。
パウエル議長は昨日、ニューヨークの経済クラブにて、米長期金利の上昇は限界にあり、さらなる引き締めの必要性がなくなる可能性があると述べました。しかし、経済が堅調にトレンドを上回って成長し続けるか、または労働市場がもはや緩和しないと判断する場合、今後の引き締めは正当化されるとも示唆しました。
この発言により、追加利上げ観測はやや後退し、利下げ観測は高まったことで、2年債利回りは低下しました。長期利回りは上昇して取引を終えましたが、10年債と30年債の利回りは本日軟化しており、特に10年債は4.94%まで低下しています。
米ドルは方向性に欠け、ポンドと円は下落
パウエル議長の発言を受けて、米ドルに特に反応がなかったのは、議長の発言がハト派ともタカ派とも解釈されるからかもしれません。今週の米失業保険申請件数はかなり堅調で、パウエル議長のインフレに対する警戒感を反映する結果となりました。
一方、英小売売上高が本日発表され、予想よりも低調だったことから、ポンドは一時1.21ドルを下回りました。イングランド銀行ベイリー総裁は、英インフレが来月に急低下すると警告し、ポンドをさらに押し下げています。
日本では、コアCPI指数が、9月に2年ぶりに3.0%を下回ったことから、円安が進行し、1ドル150円に近づいています。