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・イスラエルとガザ地区での紛争終結への外交努力でリスク回避緩和
・ゴールドは高値から下落、決算期への楽観的見解から米株式市場は上昇
・米小売売上高とFRBメンバーの発言を前に国債利回り上昇再開で米ドルも安定
中東情勢への懸念は外交への期待でムード向上
昨日、イスラエルとガザ地区での紛争が周辺諸国への大規模な戦争に発展することへの懸念が多少和らいだことから、リスクセンチメントは著しく向上しました。危機を緩和するために、世界のリーダーらが緊急に外交交渉に臨んでおり、今のところは、この動きが市場の緊張感を和らげ、ゴールドなどの安全な避難所への需要も緩和しているようです。
バイデン大統領は明日、イスラエルを訪問し、イスラエルへの連帯を表明する予定です。ブリンケン国務長官は既にイスラエルで、紛争解決を目指して、ガザ地区での人道的災害を防ぐための外交努力を強調しました。
好調な滑り出しの決算期への期待と中東での緊張緩和で株式上昇
この地政学的な不確実性は、すでに10年ぶりの高水準の債券利回りから打撃を受けている株式市場にとって、最悪のタイミングとなりました。FRBなどの世界の中央銀行は、ここ数か月間は金利を「より高く、より長く」維持することを強調しており、インフレが低下している現在、近い将来に利下げが実施されるのではとの期待は後退しています。
この中東での緊張から、明るい兆しがあるとすれば、安全資産への逃避がソブリン債を押し上げ、利回りが低下していることでしょう。しかし、イスラエル紛争に対する初期のパニックが後退するにつれ、10年債利回りは本日4.75%に戻るなど、この傾向も反転し始めているようです。
それにもかかわらず、米株式市場では、大手銀行が予想を上回る好調な決算報告が続き、第3四半期の決算期への楽観的な見方が再浮上し、強気姿勢が戻ってきました。バンク・オブ・アメリカとゴールドマン・サックスが本日の閉場前に決算報告をする予定です。株式市場の本当の試練は、明日のネットフリックスとテスタを皮切りに始まるハイテク大手の決算報告となるでしょう。
S&P500とナスダックが1%上昇した後、本日の欧州市場とアジア市場は、プラスで開場しました。
ゴールドはサポート見つけ急落を逃れる
イスラエル人とパレスチナ人の間での紛争への懸念が、多少なりとも後退したことから、ゴールドは二日連続で圧力を受けています。先週ゴールドは、金曜日に1オンス1,930ドルを超えてピークに達するなど5%以上も上昇しました。その後1,918ドル辺りまで下落しましたが、中東での紛争が不安定な情勢のため、投資家は常に警戒感を持ち続け、急な後退に対して反発しているようです。
原油価格もサポートを見つけたようで、WTI原油は1バレル90ドルの水準まで取り戻そうと試みています。
米ドルは安定、他の主要通貨は下落基調
米ドルも安全資産としての利益を全て放棄しておらず、昨日の損失を取り戻そうとしています。本日の米ドルは、引き続きユーロ安とポンド安から恩恵を受けており、ポンドは特に、予想以下の軟調な賃金上昇データから打撃を受けています。
本日は、米小売売上高の発表があり、FRBメンバーであるニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁とボウマン理事、そしてミネアポリス連銀カシュカリ総裁の講演が予定されており、注目されるでしょう。
FRBメンバーはここ最近さらなる引き締めに反対する発言を繰り返しているにもかかわらず、ここ24時間で、1月までの0.25%の追加利上げの確率はやや上昇しています。おそらく、パウエル議長が今後の利上げ停止を公に歓迎するまで、市場は追加利上げ観測を完全には払拭しないようです。パウエル議長は木曜日に発言する機会があります。
豪ドルは昨日、欧州セッション中、横ばいに転じて、これまでの利益を維持することはできませんでしたが、最も上昇した通貨でした。オーストラリア準備銀行の前回会合の議事録が公開され、前回の金利据え置き決定には、メンバー内で利上げ賛成派と意見が分かれていたことが判明したことから、豪ドル上昇となりました。
反対にNZドルは、予想を下回る第3四半期のCPI指数から、主要通貨の中で最も下落した通貨となりました。