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・イスラエル対ハマスの紛争で広範な中東紛争リスクから原油価格高騰
・安全資産への逃避から米ドル、日本円、そしてゴールド上昇
・米非農業部門雇用者数の急増でFRB再利上げか、今週は米CPIとFRBメンバーの発言に注目
中東の紛争勃発で混乱
週末にハマスがイスラエル領域を奇襲ミサイル攻撃を開始したことを受けて、本日イスラエルは反撃を開始し、イスラエルとパレスチナの間には50年ぶりに戦いの火蓋が切って落とされました。隣国で石油産油国であるイランがこの攻撃に協力したとの憶測から、イランとの代理戦争に発展することへの懸念で原油先物は当初5%以上高騰しました。
少なくとも700人のイスラエル人が死亡したと考えられており、イスラエルの反撃の規模はまだ未明です。また、イランへの軍事行動となれば、米国の協力の可能性もあるため、この地区での原油供給に混乱が生じる危険があります。米国政府はすでに、この地域に空母を派遣していると述べており、まだ憶測段階ですが、より広範な紛争が勃発する場合、市場はイランが世界の石油供給の20%を支配するホルムズ海峡を封鎖する可能性にも警戒しています。
ゴールドと他の安全資産は上昇基調
ゴールドは、安全性への逃避から1%ほど上昇して、1オンス1.950ドル辺りとなっています。また米ドル、日本円、そしてスイスフランもともに、安全資産の地位から恩恵を受けて上昇しています。株式市場は圧力を受けていますが、今のところ、大きなパニックに陥っている兆候はないようです。
イスラエルとパレスチナの紛争が内紛に留まる場合、市場は数日でその影響を忘れる可能性が高いですが、その場合でも、この内紛によって、イスラエルと地域大国であるサウジアラビアの平常化への期待は後退し、長期的な平和への見通しは減少しました。
ただ今のところ、市場での懸念材料は他にも多く、欧州市場の取引が開始するとともに、原油先物のこれまでの利益は取り消されました。
米非農業部門雇用者数の大幅増加がユーロとポンドの重荷に
ただし、本日の市場の反応は予想外で、特にリスク連動通貨である豪ドルやNZドルは比較的穏やかとなっていますが、一方でユーロやポンドはそれほど上昇していません。
これらの背景には、原油価格高騰によって、欧州と英国でのスタグフレーションが懸念材料となっている可能性があります。本日の原油価格の高騰は、先週の急落からの損失の半分ほどしか取り戻していません。そして、先週金曜日の予想を大幅に上回った米雇用報告も、おそらく関連していると思われます。
米経済は減速するどころか、9月に33万6千件もの雇用者数が追加され、FRBによる追加利上げ観測を高めました。しかし、失業率が予想ほど低下しなかったことと、年間賃金の伸びもわずかに緩和したことから、FRBの今後の方針には、依然として不確実性が残ります。
今週は米CPIレポートとFRBメンバーの発言に注目
市場はFRBの年内の追加利上げ観測を高めましたが、確率としては50%以下で、イスラエルでの内紛の中、この確率も後退しています。今週は、水曜日にFRBの前回会合での議事録公開と、木曜日に9月の米CPIレポートが発表される予定で、FRBの利上げへの確率が変動することが予想されます。
米インフレが予想以上に加速となり、特に、今週予定されているFRBメンバーが引き続き、金利を「より高く、より長く」維持するとの見解を示す場合には、FBRによる11月か12月での追加利上げが現実的となる可能性があります。
ドル指数は、様々なイベントが続く今週を控えて、現在約0.4%上昇して取引されています。
米株式市場は反発も本日の株価は強弱まちまち
先週金曜日の強弱まちまちの米雇用報告は、米株式市場の終値の上昇のサポートとなり、市場がソフトランディングの可能性を吟味する中、先週は高値で終了しました。しかし先物は赤字となり、中東に関する新たな報道がなければ、本日は米市場が祝日で休場のため、穏やかな一日となるかもしれません。
本日の米国債利回りは、安全な逃避先への需要が拡大する中、小幅上昇となりました。利回りの低下と、原油価格の上昇によるエネルギー株の上昇で、主要指数がまちまちとなったアジア市場と欧州市場での売りは限定的となっています。