マーケットコメント―円相場乱高下、日本政府による為替介入か

投稿日: 2023年10月4日17時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・円相場は150円を一時的に突破後円高へ
・市場は介入の可能性指摘も日本政府は公表控える
・好調な米経済データが続き、米ドル上昇
・米国債利回りと米ドルの続伸で米株式市場とゴールドは下落

円高で日本政府による為替介入の憶測も

昨日、ドル/円が予想外に150円台を一時的に突破した直後円高に変動となり、日本円のみが米ドルに対して上昇した唯一の主要通貨となりました。

投資家はドル円相場のレベルを注視しており、一定のレベルを超えると、日本政府は介入を余儀なくされると見られていました。神田財務官は本日、為替市場に介入したかどうかへのコメントは控えると述べたにも関わらず、昨日実際に介入があったのではとの憶測は広まっています。

市場の反応は昨年に比べると小さいと見る向きもありますが、円高となった背景には、ドル/円が150円を突破した直後に、投資家が介入への恐怖感を示しての反応だったのかもしれません。しかし、全ての円トレーダーが同じ反応をするとは考えにくく、この円高はむしろ介入の特徴と言えます。いずれにせよ、財務省は、まだ詳細は未定ですが、月末に公式の介入データを公表することになります。

JOLTS求人件数は予想以上に増加で米ドル上昇に拍車

依然として、堅調な米経済データの発表が続き、米ドル上昇の拍車となる可能性があり、円相場が150円を下回ったままとなるかは、まだ疑問が残ります。月曜日の予想以上に好調な米ISM製造業PMIに続いて、昨日JOLTSによる求職件数も予想以上に増加していることが示唆されました。本日は米ISM非製造業指数が注目されますが、今週の焦点は、金曜日の米非農業部門雇用者数となるでしょう。

FRBによる金利を「より高く、より長く」維持するとの精神は、これら一連の経済データにも裏付けされており、米国債利回りと米ドルは上昇基調です。日銀が日本国債利回りの上限を維持すると決定したこともあり、ドル/円はさらに上昇するかもしれません。現在円相場は、150円よりもわずか80銭安となっており、再び150円を突破する場合、二度目の介入があるかに注目が集まるでしょう。

例え介入が今週に行われないとしても、ハト派の日銀とタカ派のFRBの乖離が続く限り、150円台を超えることは避けられないといえるでしょう。昨日、アトランタ連銀ボスティック総裁は、米国債利回りの上昇は、まだ予想以上に景気減速の兆候を示していないとし、クリーブランド連銀メスター総裁も利上げ再開に前向きであると述べました。

リスク連動通貨である豪ドルとNZドルはともに、ドル高と中国経済への懸念とは別に、それぞれの中央銀行が据え置きを決定したことから売りが加速しました。昨日、オーストラリア準備銀行は金利を据え置き、今後の利上げの可能性はあるものの、慎重なトーンを打ち出しました。本日、ニュージーランド準備銀行も金利を据え置き、第2四半期の予想以上に好調なGDPを受けて追加利上げを検討しているかには言及しませんでした。おそらく、ニュージーランドでの総選挙を2週間後に控えて、NZ中銀は今後の方針への言及を控えたのか、第3四半期のインフレデータを検討する予定でいるのかもしれません。

米株式市場下落、ゴールドも続落

米株式市場の主要3指数は、昨日1%以上下落しました。ナスダックがもっとも下落し、ダウ・ジョーンズも今年6月以来初めてマイナスに転じました。FRBによる追加利上げと、来年の利下げ幅縮小に対して、市場は未だに完全には確信はしていないようで、今後の米経済データがFRBの見解を裏付けする場合、上振れ調整の余地があります。その結果、株式市場はさらに下落するかもしれません。

ゴールドも昨日下落し、2月と3月に強力なサポートとなった1,810ドルゾーンに近づいています。米国債利回りと米ドルは引き続き上昇しており、10日間以内で6%近く下落したゴールドの重荷となっています。