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・FRBの金利を「より高く、より長く」で米ドル続伸
・円相場は150円台迫り、本格的な介入へ警戒感
・米原油在庫減少で原油価格高騰
・米国債利回り上昇も米株式市場はまちまち
ミネアポリス連銀総裁は繰り返しタカ派発言
米ドルは昨日、特にユーロなど、ほぼ全ての主要通貨に対して上昇しましたが、おそらく原油価格の高騰からサポートを得たカナダドルに対してのみ下落しました。
このドル高の背景には、FRBの金利を「より高く、より長く」維持するとのタカ派見解によるもので、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁も昨日、この見解を繰り返し強調しました。カシュカリ総裁は、CNBCとのインタビューで、インフレを2%まで減速するレベルまで金利が到達したとは言えないとし、FRBは年内に金利をもう1回引き上げた後、来年には金利は据え置くだろうと述べました。
米国債利回りは昨日続伸し、10年国債の基準金利は16年ぶりの高値を更新しています。一方で米ドルは、ユーロとポンドを6か月ぶりの安値まで押し下げました。
円安進行で政府による口頭警告も頻繁に
ドル/円相場は、鈴木財務相による新たな警告にも関わらず、11か月ぶりの高値となりました。鈴木財務相は本日、過度な変動があれば、あらゆる手段を排除することなく適切な対応を取ると警告しています。
円安は、本格的な介入レベルと見られる150円の心理的ゾーンまで30銭まで迫る水準まで進行しています。政府による口頭での介入警告の頻度増加と、米ドルの明るい見通しによって、警戒を要する以上の事態となっています。
そうは言うものの、実際に為替介入が行われるとしても、ドル/円の見通しが逆転する可能性は低いと言えます。FRBと日銀との政策上の乖離が、日米の国債利回りの差をさらに拡大させる可能性があり、また介入によってドルが下落すると、投資家にとっては、より魅力的なロングポジションに再投資する機会と見なされるかもしれないからです。
原油価格は供給逼迫への懸念から3%以上急騰
原油価格は昨日、3.5%ほど急騰しました。米国の原油在庫が先週220万バレル減少し、さらに32万バレルの減産が予想されるとのデータが示されたことから、本日も原油価格は続伸しています。米オクラホマ州のクッシングでの備蓄は、2022年7月以来の低水準まで減少し、これは歴史的な低水準に近づいていることから、最低稼働水準を下回るまで減少するのではとの懸念が高まっています。
米国での原油減産は、サウジアラビアとロシアが原油減産を年末まで延期すると決定する中に生じた事態となります。これから冬に向けて、供給逼迫が原油価格を押し上げるのではとの心配の声もありますが、これが長期的な上昇トレンドに発展するかどうかにはまだ疑問が残ります。米国に次ぐ世界最大の石油消費国である中国とヨーロッパに直面する課題は、需要を押し下げる可能性があり、今後原油価格に反映され始めるかもしれません。
米株式市場はまちまちも見通しは厳しいまま
米国債利回りと米ドルの急騰にも関わらず、米株式市場は昨日、強弱混合で取引を終えました。ダウ・ジョーンズは下落しましたが、S&P500は実質的に横ばいとなり、ナスダックは上昇しました。ここ数週間の株価の売り市場で、投資家はおそらく、この機会をお得な買いのチャンスと見たのかもしれません。
そうはいっても、株式市場でのさらなる下落のリスクは、依然としてあります。市場による予想金利経路は、FRBよりも下回って設定されていることから、今後の経済データが引き続き高い金利の長期的な維持を正当化する場合、上振れ調整の余地があります。これは、米国債利回りと米ドルへのサポートとなり、その結果、株式市場では重荷となり得ます。また、連邦予算を巡る米議会での膠着状態も、将来の不確実性の原因となっています。
ゴールドも、国債利回りと米ドルの上昇から打撃を受け、1,885ドルの重要なサポートゾーンを下回り、3月に低下した領域に入りつつあります。