マーケットコメント―本日のFRB政策会合(FOMC)に焦点

投稿日: 2023年9月20日18時02分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRB政策会合を前に米ドルは慎重に取引
・日本政府による介入警告も円安進行
・英CPI予想以上の減速でポンド下落
・株式市場もFRB会合に警戒で米株価下落

FRBの新たなドットプロットで米ドル上昇となるか

米ドルは昨日、依然として慎重な取引となり、日本円とスイスフランに対してわずかに上昇しましたが、リスク連動通貨である豪ドル、NZドル、そしてカナダドルに対して、最も下落しました。

米ドルの取引に関しては、本日のFRB政策会合を前に、政策決定が予想と異なる場合のリスクを避けるためか、市場は積極的な取引を控えているようです。現在、大方の予想としては、FRBが今回は利上げを見送ると見ているようで、年内の0.25%の利上げについても、45%ほどの確率を織り込んでいます。また市場は、来年の利下げ幅について、0.7%以上と予想しています。

FRBが本日、予想通り金利据え置きを発表する場合、焦点は更新される経済予測と新たなドットプロットとなるでしょう。最新の経済データは、米経済が他国の経済よりも堅調であることを示唆していますが、原油価格の高騰からインフレが再上昇する可能性もあり、市場の利下げ観測を正当化できるほどではありません。このため、ドットプロットは、市場の予測よりは高い金利経路を示す可能性があります。その結果、米国債利回りが上昇し、米ドル上昇をサポートするかもしれません。

日本政府による介入警告も円安進行

神田財務官の新たな介入警告にも関わらず、ドル/円は現在、148円台をわずかに上回っており、円安が進行しています。神田財務官は、市場の動きを「高い緊迫感をもって」注視しながら、米国および海外の通貨当局と密接に意思疎通を図っていると述べました。

金曜日に予定されている日銀の政策会合では、7月に行ったイールドカーブ・コントロール政策の調整の影響を見極める中、金利を据え置くと予想されています。今週の会合で、FRBがタカ派と判断される場合、ドル/円はさらに上昇し、日本政府によるさらなる警告を促すことになるでしょう。日本政府は、円安進行の水準ではなく、スピードに注目していると繰り返し述べており、市場はおそらく、150円台を本格的な為替介入となるラインと考えているようです。

英CPI指数減速で明日の英中銀政策決定は再検討へ

ポンドは昨日、米ドルに対して堅調に推移しました。しかし本日、英CPI指数が、総合指数で予想外の減速、コア指数も大幅な減速が示唆され、イングランド銀行が引き締めサイクルの終焉を迎えているとの見方を裏付け、ポンドは下落しました。

市場は現在、明日のイングランド銀行の政策決定において、わずか54%の確率で利上げを織り込んでおり、意見が分かれています。明日の政策会合で、深刻化する英経済から慎重な姿勢を示唆する場合、ポンドは続落する可能性があります。

一方カナダドルは、予想以上にインフレ率が加速したことから、カナダ銀行による利上げ継続への期待が高まり、昨日上昇しました。

米株式市場もFRB政策決定を静観

昨日のリスク連動通貨に上昇にも関わらず、米株式市場は、3指数全てわずか赤字で取引を終えました。株式投資家も、FRB政策会合前に、ポートフォリオを大きなリスクに晒すことに消極的なようです。

本日のFRBによるガイダンスが、金利を「高く、長く」維持すると強調する場合、株式、特に金利経路の変化に敏感な高成長株にとっては重荷となり得ます。また、米下院における国防歳出法案を巡っての党内の対立で、政府機関が過去10年で4回目の一部閉鎖になり得るとの不安の高まりも、今後の株式投資への意欲を圧迫する可能性があります。米議会は、9月30日までに歳出法案を可決し、重要な政府機関の維持を図る必要があります。