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・ECBメンバーによるタカ派発言でユーロ上昇
・明日のFRB政策会合での決定に注目
・米株式市場はほぼ横ばい、ゴールドは続伸
ECBメンバーによるタカ派発言で利下げ観測後退
昨日ユーロは、ECBのタカ派発言から恩恵を受けて、米ドルに対して回復を拡大しました。
先週のECBによる利上げ決定が引き締めサイクルの終焉だと解釈された翌日、ラガルド総裁は、今後の利上げの可能性もあり得るとタカ派的な意見を述べ、来年の利下げ観測は後退しました。昨日、スロバキア中銀カジミール総裁も、先週の利上げが最後で、今後の利上げは選択肢にないかどうかは、来年3月までの物価動向を見極める必要があると、ラガルド総裁の意見に賛同する意見を述べました。
ユーロ上昇の背景となったのは、ECBが銀行に滞留する数兆ユーロ規模の過剰流動性の対処について、近く議論を始めるだろうとの一部の報道も影響したと見られます。これは商業銀行間の預金競争を減らすことで、利上げの影響に対処することを目的にしていると思われます。
ユーロ/ドルは反発して、主要な1.0665ドル圏内を抜けて取引が終わったものの、市場が来年の利下げはないと確信するまでには至っていないようです。現在市場は、0.5%以上の利下げ幅を織り込んでいます。
最新のユーロ圏の経済データが、堅調とはいえない状況が続いていることから、市場はおそらく今後の経済データの結果次第と見ているようです。したがって、金曜日のユーロ圏の9月PMI速報値の発表に注目が集まるでしょう。たとえ物価サブインデックスが粘着性のあるインフレを証明したとしても、PMI指数がユーロ圏の経済減速を示唆する場合、ユーロは新たな圧力に晒される可能性があります。最近の市場では、投資家はユーロ圏の高インフレよりも経済パフォーマンスに懸念を示しているようです。そのため、景気後退の警笛を鳴らすような経済データは、ECBの利下げ観測の高まりとなるでしょう。
明日のFRB政策決定に注目
昨日米ドルは、他の主要通貨に対して後退しましたが、本日は若干上昇しています。明日のFRB政策会合を前に、市場は大きな取引を控えているのかもしれません。
大方の予想では、FRBは今回の会合で利上げを見送りすると見られており、引き締めサイクルの最後として、最後の利上げをする確率も45%しかありません。米経済が他国の経済よりも好調であるにも関わらず、市場は依然としてFRBによる来年の利下げ幅を0.8%と織り込んでいます。
今回FRBが利上げを見送るとしても、政策会合での焦点は更新される経済予測と新しいドットプロットとなるでしょう。ここ最近の米経済データが期待される利下げ幅に見合っていない中、年内の利上げや予想以下の利下げを示唆するドットプロットは、米ドル上昇のサポートとなり得るでしょう。
米株式市場は様子見、ゴールドは1930ドル以上まで回復
米株式市場では、ダウ・ジョーンズとナスダックともに、ほぼ横ばいで取引を終えました。S&P500 は、わずか0.07%の上昇に留まりました。株式市場も、FRB政策会合を控えて様子見のようです。特に高成長株にとっては、バリュエーションが今後の予想フリーキャッシュフローを割り引いて算出されているため、タカ派と解釈される決定は、株価下落となる可能性があります。
一方ゴールドは、米ドルと米国債利回りの後退から恩恵を受けて、1930ドルゾーンを超えて上昇しました。米ドルが他の主要通貨に対して上昇した時でさえ、ゴールドは、過去最高値から8%未満の水準で取引され、それほど下落しませんでした。おそらく、ゴールドの安全な避難所としての魅力が緩やかに回復しているのかもしれません。
昨日、米エネルギー省がシェールオイル主産地の生産量が5月以来の低水準となると発表したことで、サウジアラビアとロシアによる供給削減からの原油不足への懸念がさらに強まり、原油価格は続伸しました。