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・原油の供給逼迫から原油価格急騰
・債券利回り上昇が株式市場を圧迫
・米ドル上昇は一服でゴールド上昇
原油価格の急騰でユーロと円に打撃
FRBを初め、世界の中銀が政策会合を控える今週は、原油価格のさらなる急騰で始まりました。WTI原油価格は、サウジアラビアとロシアによる追加減産が従来の供給不足を導くことから、今四半期に30%以上も急騰しました。
重要なことは、欧州や中国の深刻な経済減速から需要の減少が懸念される中でも、原油価格が上昇していることです。これは、供給側がいか逼迫しているかを裏付けています。株式市場のリスクオフモードにも関わらず、先週の金曜日に原油価格が急騰した背景には、この供給不足の概念に信ぴょう性を与えました。
原油価格の急騰は、エネルギー市場だけでなく、消費者を圧迫し、インフレ圧力ともなります。その結果、高インフレの持続が景気減速に向かうリスクとともに、中央銀行による政策決定はより困難となります。
原油価格の高騰によって、エネルギー輸入国、特にユーロ圏と日本にとっては、経済成長減速と貿易経路を通じて、その通貨であるユーロと円に悪影響となります。したがって、エネルギー価格の変動は、すでに窮地に立たされているユーロと円には重要となるでしょう。
債券利回り上昇で株価下落
米株式市場は、ハイテクセクターの下落により、先週の金曜日に下落しました。先週の大規模なオプション満了日が売りの原因だとする一部のアナリストもいますが、債券利回りの堅実な上昇も一役買っていると言えます。
先週の利回り上昇からハイテク株とバリュー株の反転し、株式市場には利回り上昇の影響が出始めてきているようです。エネルギー価格の上昇により、本日、米10年債利回りが2007年以来の最高値を一時更新するなど、この圧力が弱まる可能性は低いと言えます。
今年の目覚ましい株価上昇も勢いを失いつつあるようで、さらに下落する可能性があります。バリュエーションは依然として、歴史上高価ではありますが、債券利回りがさらに上昇した場合、米株式市場は影響を受けやすいでしょう。3四半期連続で企業収益は減少しており、複数の企業調査が差し迫る世界の経済成長の減速に警告を投げかける中、市場の予想通り第4半期も減速し続けるのかが焦点となります。
米ドル上昇は一服、ゴールドは反発して上昇へ
為替市場では、先週の金曜日、米ドルは後退し、本日も下落しています。米国債利回りがサイクル高値を更新し、株価も下落する中、ドル高とならないことは驚くべき事態です。
おそらく、今週の水曜日にFRB政策決定を控え、市場に警戒感が漂っていることも一因でしょう。FRB以外にも、今週は、イングランド銀行、スイス国立銀行、そして日本銀行が政策会合を予定しています。そのため、今週はボラティリティの高い週となるでしょう。
最後にゴールドは、金曜日に回復し、今週の損失を取り戻して、さらに上昇して取引されています。米ドルと米国債利回りが上昇した週に、ゴールドも上昇したという事実は、表面化でのゴールドの「実質の」需要が示唆されます。この需要はおそらく、世界の中銀によるゴールド保有量の増加と見られます。
この事実を強調するのは、利回りがサイクル最高値であるにも関わらず、ゴールドが史上最高値から8%未満で取引されていることからも裏付けされます。このように、ゴールドは回復力を見せていますが、ゴールドの見通しをポジティブにするには、まだ十分とは言えません。ゴールドの明るい見通しには、市場が景気後退に向けてパニックに陥り、FRB利下げ観測が高まる必要がありますが、まだそこまで至ってはいません。