XMTradingは、アメリカ合衆国の居住者にサービスを提供していません。
極限の取引を。Visa Cash App RB F1 Teamの誇り高きオフィシャルパートナー。詳細はこちら
・ECB利上げ決定も一時停止示唆でユーロ下落
・堅調な米小売売上高で米ドルは6か月ぶりの高値
・堅調な中国経済指標で株式上昇も本日のトリプルウィッチングデーに注意が必要
ユーロ圏経済への暗い見通しの中、ECBは予想外に利上げ決定
昨日ECBは、理事会内で五分五分に意見が分かれる中、0.25%の利上げを決定し、一部の投資家を驚かせました。市場とエコノミストの中では、今回の会合では利上げを見送ると見られていました。しかし、ECBがインフレ予測を上方修正するとの「情報筋」からの報道によって、利上げを一時停止する可能性は低いだろうとの憶測が広まっていました。
昨日の利上げによって、ECBの預金金利は、1999年のユーロ導入以来、過去最高の4.0%まで引き上げられました。これによって、企業や消費者にとっては、インフレ低下がやっと浸透してきた矢先に、さらなる困難が待ち受けることになりました。しかしエネルギー価格が再上昇し、コアインフレが依然として上昇しているため、ECBによる利上げ決定は、全く予想外の事態ではなかったと言えます。
主な懸念としては、ECBが引き締めサイクルを始めた際には、ユーロ圏の経済は現在よりも、はるかに良好な状態でエネルギー価格の上昇も乗り越えられたものの、現在は経済成長の見通しも大幅に悪化し、景気後退のリスクも再浮上し始めていることです。
ECBの来年利下げ観測高まり、ユーロは下落基調
ユーロ圏では本格的な景気後退とならないとしても、今のところ、スタグフレーションが最も楽観的なシナリオのようです。そのため、ECBの政策決定後、ユーロは一瞬上昇しましたが、持続しませんでした。ECBはその声明の中で、インフレ率を2%に引き下げるために、現在の水準での金利は、十分に制約的であるべきだと慎重に述べました。この声明により、今後の利上げ観測は後退すると同時に、来年後半での利下げ観測を押し上げました。
ECBラガルド総裁は、記者会見にて、金利は必ずしもピークに達していないことを強調しましたが、ユーロの下落を止めることはできませんでした。
ユーロは昨日、日中安値である1.0629ドルを更新した後、1.1%下落して取引を終えました。本日は、ファイナンシャルタイムズ紙が、インフレと賃金の上昇が継続する場合、ECBのタカ派は12月での利上げに賛同するだろうと報道したことから、0.2%ほど上昇して取引されています。
しかし、投資家の観点からすると、これ以上の引き締めは景気後退を深刻化させ、その後の利下げ幅が拡大する可能性が高いと見ているようです。このためユーロは、これらのレポートに対して、控えめな反応をしていると思われます。
来週のFRB会合を前に堅調な米経済指標で米ドル上昇
昨日のユーロ下落に続いて、米ドル買いを促したのは、予想以上に堅調な米小売売上高と生産者物価指数でした。8月の米小売売上高は、予想の0.2%を大きく上回り、前月比で0.6%上昇しました。しかし、この上昇は主にガソリン価格の上昇によるもので、7月の数値は下方修正されました。米ドルを押し上げたのは、生産者物価指数で、8月に年率1.6%と2か月連続で加速しました。
これらの経済指標は、FRB利上げ観測にはあまり影響を及ぼしませんでしたが、利下げ幅が若干縮小され、ドル指数は6か月ぶりの高値を更新しました。
米ドルは本日、中国からの好調な経済指標を受けてやや軟化しています。
中国の好調な経済指標で株式市場は続伸
中国では、8月の鉱工業生産と小売売上高がともに予想を上回り、中国政府による経済支援策が、ある程度効果を発揮し始めたとの期待が高まっています。
中国人民銀行は昨日、全ての銀行の預金準備率を0.25%引き下げ、本日初めのセッションでは、逆買戻しオペレーションによって、流動性の供給拡大を図り、14日物レバースレポを0.2%引き下げました。
豪ドルは2週間ぶりの高値更新まで上昇し、現地の株式市場は、一部の地方の株式市場を除いて、上昇して取引を終えました。
この明るいムードはヨーロッパ市場にも持ち越されましたが、米先物は昨日の堅調な上昇後、強弱まちまちとなりました。
米株式市場は本日トリプルウィッチングデー、石油価格とゴールドは上昇
FRBが来週利上げを一時停止したとしても、再度利上げを行う可能性が高いにも関わらず、米株式市場は上昇で今週の取引を終えそうです。しかし本日は、株価指数先物と株価指数オプション、個別株オプションの満期日が重なる「トリプルウィッチングデー」となるため、ボラティリティの変動に注意が必要です。
コモディティでは、中国の経済指標の改善に支えられたようです。WTI先物が1バレル91.15ドルに達するなど、石油先物は今年最高値を更新し、ゴールドも二日連続で上昇しています。本日の米ドル軟化と、昨日のECBによる利上げ一時停止の示唆が、ゴールド上昇となり、米国債利回りが本日小幅上昇しているにも関わらず、一部の損失を取り戻しています。