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・米インフレデータの結果は米ドルとリスク資産に影響
・ECBインフレデータ上方修正でユーロ上昇、石油価格上昇
・ハイテク株下落で株式市場全体も下落、ゴールドも下落
本日の米CPI指数に注目
本日の市場は、米消費者物価指数(CPIレポート)の発表を前に準備態勢で警戒ムードのようです。来週のFRB政策会合にて、市場は利上げなしと確信しており、本日のCPIレポート後もこの予想は変わることはないと見られています。しかし、11月での政策会合での利上げか見送りかについては、今のところ五分五分の確率で意見が分かれていますが、CPIレポートの結果が影響を及ぼす可能性があります。
8月の米消費者物価指数は、エネルギー価格の再上昇から前年比で3.2%から3.6%に上昇すると予想されています。反対に、コア指数については、7月の4.7%から4.3%まで減速すると予想されています。FRBと市場は特に、コア指数を材料視しますが、アリゴリズム主導の市場の初期反応は、おそらく総合指数からの反応となる可能性があります。
ISM企業調査とクリーブランド連銀のCPIナウ予測によると、インフレ指数が予想以上に加速するリスクもあるようです。CPIナウによると、総合とコア指数ともに予想外の上向き予想と示唆されています。しかし、これは主にエネルギー価格の上昇による範囲の狭いモデルであるため、注意が必要でしょう。
全体として、米ドルは、堅調な経済ファンダメンタルズと魅力的な利回り、そして安全資産の性質の全てを持ち合わせる万能な通貨としての機能しているようです。これらの資質は、為替市場の他の通貨のアンチテーゼとなっているようです。欧州と中国の経済減速は深刻となっており、日本円も金利差から打撃を受け、ポンドもリスク選好の変動に影響を受けやすい環境にあります。
すなわち、本日の米インフレレポートは、短期的な取引ダイナミックスにのみ影響すると言えます。大きな視点からの米ドルの見通しは、実用的な通貨の代替が不足する中、ますます明るいと言えるでしょう。
ECBのインフレレポート上方修正でユーロ上昇
ECBについては、2024年のインフレ予測を上方修正するとのメディア報道を受けて、明日の政策会合での利上げ観測が高まっています。明日のECB政策会合での利上げの確率について、市場は現在、引き締めサイクルの最後として70%と織り込んでいます。
この予測はユーロ上昇につながり、特に世界的なリスクセンチメントの低下から打撃を受けているポンドに対して上昇しました。ただし、ECBがマクロ経済見通しの悪化を認識して、ユーロ圏の経済成長予測を下方修正したという事実については、市場は材料視していないようです。
明日のECB政策会合での決定が何であろうと、ユーロは下落基調と言えるでしょう。たとえ利上げを決定したとしても、織り込み済のため、市場の反応は小幅で一時的となるでしょう。金利の上昇は、単に経済成長の減速が軽度の景気後退を促すとの懸念を強める結果となり得ます。
石油価格上昇、株価とゴールドは下落
コモディティでは、石油価格が10か月ぶりの高値に達しました。OPECプラスによる大幅な原油減産は、中国からの需要軟化の懸念を上回り、需要と供給のバランスが保てず、リスク回避ムードのセッションでも原油価格の上昇となりました。
一方ゴールドは、インフレ予測を押し上げている原油価格上昇への反応として後退したようです。このゴールド上昇は、結果として債券利回りの上昇圧力となっています。
最後に、昨日の株式市場はハイテクセクターが牽引する形で下落し、月曜日からの上昇を帳消しにして横ばいで落ち着きました。市場は、アップルの新製品発表にあまり感慨を受けなかったようです。アップルは、消費者の予算が逼迫し、ファーウェイとの競合争いが再浮上する中、今回はiPhone の価格を引き上げなかったことで、アップルの価格決定力が低下している兆候と受け止めたようです。