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・米国債利回り上昇で米ドル上昇、円安進行
・軟調な中国PMI数値から中国経済回復への期待後退
・豪ドル下落、ゴールドは重要なサポートゾーンで試練
日米金利差から円安進行
米ドルは昨日、金利差と安全資産の流れの恩恵を受けて、上昇しました。債券市場において、米国債利回りは再度上昇し始めたことで米ドルは優位となり、また中国からの軟調な経済データから、安全資産として投資家の米ドル買いとなりました。
米国債利回りが上昇すると反対に犠牲となるのは、いつも低利回りの日本円です。また、日本はほぼ全てのエネルギーを輸入していることから、世界のエネルギー価格が上昇するたびに円には打撃となります。このため、海外の利回り上昇と石油価格の上昇から、円安が進行しました。
円安は昨年の政府為替介入の水準に達しているにも関わらず、円安進行のスピードが遅く、また政府関係者も前回ほど警告していないことから、今回の介入へのリスクは比較的低いと言えます。
ドル/円が150円付近まで上昇し続ける場合は、日本政府は市場への警告を強化する可能性がありますが、為替市場でのボラティリティの低さからも、実際に介入する可能性は低いと言えます。またこれは、投資家がパニックになって、事前に損失を予防しようとヘッジをしていないことからも裏付けされます。
中国経済への懸念復活、リスク関連通貨は下落
中国では、ここ数日の経済回復への前向きな期待が一時的であったことが証明されました。本日、中国の8月のPMIが発表されましたが、急激に低下したことで、経済の持続的な減速が確認された形となりました。
中国の動向に敏感な通貨は、これにより下落しました。中国の需要がコモディティの輸出に影響するため、豪ドルとNZドルは下落し、NZドルは特に今年最安値を更新しました。同様に、アジア市場はエネルギー価格の上昇で下落しましたが、下落幅はそれほど深刻ではないようです。
中国の不動産開発業者最大手である碧桂園(カントリーガーデン)は、ドル建て社債2本を支払い、本日危惧されていたデフォルトが回避されたことで、一つ中国経済の明るい進展となりました。しかし、このニュースも、軟調なPMI数値の影となってしまいました。
豪中銀は金利据え置き決定、米株式市場とゴールドは下落
オーストラリアでは、オーストラリア準備銀行が本日、金利の据え置きを決定し、中立的な立場を明確にして、データに依存することを強調しました。この決定への豪ドルへの影響は限定的で、中国経済への懸念とリスク回避の方が豪ドルに影響を及ぼしました。
米株式市場は、本日連休明けで開場となりますが、先物は赤字で取引されています。利回りの上昇と世界経済の景気後退への懸念は、特にバリュエーションが伸び、企業収益の伸びが停滞している場合、株式にとっては良い状況とは言えません。株式市場は今年大きく上昇しましたが、現在の水準から、リスクへの報酬を考えると、株式はそれほど魅力的とはいえません。
最後に、ゴールド価格も、利回りと米ドルの上昇から下落基調で、それほど上昇軌道に乗れないことが証明されました。チャート上では、ゴールドは重要なテクニカルの岐路に立っており、1,935ドルを下回る場合、1,900ドル辺りまで下落する可能性があります。
そうはいっても、ゴールドは今年回復力を見せており、米ドルが上昇し、米利回りがこのサイクルでの最高値辺りといった環境の下でも、過去最高値から7%以下のところで取引されています。このため、先の見通しはたとえ暗いように見えても、相対としては強さの兆しを示していると言えます。