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中国経済への懸念と利回り高騰、そして流動性の低迷で市場は不安定
好調な米小売売上高で米ドル上昇、ゴールドは下落
英CPI指数からポンド上昇、本日FRB政策会議会合議事録に注目
中国経済への懸念から株価下落
中国経済への懸念と債券利回りの高騰、また流動性の低迷が世界市場を取り囲んでおり、全体としてムード悪化となっています。
ここ最近の中国経済データから、世界的な製造業の低迷と国内の不動産危機の中で、中国経済の急な失速が浮き彫りになっています。住宅価格は7月に前月比0.2%下落し、一連の低調な経済データに追加されました。また、政府への強力な景気刺激策の圧力にも関わらず、主に過剰な民間債務水準への懸念から、中国政府は今のところ刺激策に消極的なようです。
これに加えて、米国利回りの急騰も市場の懸念材料となっています。米国財務省による債券発行の増加で、FRBがバランスシートを縮小し続け、堅調な米小売売上高からも分かるように、米経済が引き続き回復力を示していますが、実質10年債利回りは昨日2009年以来の高値まで達しました。
実質利回りの上昇は、リスクの高い資産の魅力となり、中国を取り巻くリスクと夏期休暇中の流動性の低迷から、株式市場の下落となりました。S&P500は昨日1%以上下落し、3月以来初めて50日移動平均を下回ったため、明るい兆候とは言えません。
米小売売上高は予想を大幅に上回る、ゴールドは下落基調
7月の米小売売上高が予想を大幅に上回り、GDPの測定に使用される小売管理グループでは、予想の2倍となる月ペースで1%となりました。今のところ、米経済が中国や欧州の経済に比べて、好調であることは間違いようです。
アトランタ連銀のGDP追跡モデルは、このデータ発表後、今四半期に米経済の成長率を5%と上方修正しました。住宅セクターも再び活性化しており、堅調な労働市場とインフレの冷え込みで、実質賃金の伸びもプラスの領域に戻ったことで、消費者にとっていくらかの購買力が戻ってきたことを意味します。
当然、このデータを受けて、米ドルも上昇しましたが、利回りが明確な材料のないまま後退したため、本日米ドル上昇は緩和しています。
コモディティでは、実質利回りと米ドル復活からゴールドは今月、一時的な下降トレンドラインとなっています。しかし、実質利回りの急騰にも関わらず、ゴールドが過去最高値から8.5%ほどの下落に留まっていることは朗報とも捉えられますが、景気後退といった心配材料がない中、ゴールド上昇となる起爆剤が欠如しているともいえるでしょう。
ポンド急騰、NZ中銀は金利据え置き決定、本日FRB政策会合議事録公開に注目
イギリスでは本日、最新のインフレ統計が発表となり、予想よりも上昇したことから、イングランド銀行へのさらなる0.75%の利上げが期待され、ポンドを押し上げました。この利上げ観測がポンド上昇をサポートしていますが、金利が上昇するほど景気後退のリスクも高くなることが今後の課題と言えるでしょう。
その他のニュースとしては、ニュージーランド準備銀行が本日、金利を据え置きしましたが、予想金利経路が上方修正され、将来の利上げもあるとの見方から、中国経済への懸念から下落基調だったNZドルの上昇となりました。
本日は、FRBの前回の政策会合での議事録公開が予定されていますが、FRBメンバーが「最新データを参考とする」との見解を明らかにしているため、市場に衝撃となるような内容は含まれていないと見られています。