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中国から低調な一連の経済データで人民銀行は利下げ、人民元下落
日本の第2四半期GDP成長も円安進行、為替介入へ警戒感
米利回り上昇もハイテク株が上昇で、本日の米小売売上高前に米ドル下落
中国人民銀行による利下げで経済への懸念高まり人民元下落
中国人民銀行は本日、中期貸出制度の1年物金利を0.15%引き下げて2.5%にすると予想に反した利下げを発表しました。また、7日物リバースレポ金利もわずかに0.1%引き下げました。中国人民銀行のこの動きは、本日発表の低調な経済データが、中国経済の減速への深刻化を浮き彫りにしているため、迅速に対応した形となります。
7月の中国の鉱工業生産は前年同月比で3.7%増、小売売上高は2.5%増と、共に予想を下回りました。固定資産投資も、不動産投資が17か月連続で減少をしていることから、予想以上の減速を示しました。
これらのデータにより、中国での金融危機は不動産セクターだけでなく他の分野にも拡大しているとの兆候が見られ、政府当局が停滞する経済の再開に向けて課題が山積みであることを示唆しています。本日の中国人民銀行による利下げは、企業への圧力緩和にはあまり効果がない可能性がありますが、今後の貸出金利の引き下げへの見通しから、人民元は米ドルに対して新たな安値を更新し、2022年11月以来初めて7.30レベルを突破しました。
しかしながら、香港と中国本土の株式は、カントリーガーデン(碧桂園)による昨日のオンショア債の支払いの延長分割での支払い提案を受けて、不動産開発業者がデフォルトを回避できるかもしれないとの期待から株が反発し、これまでの損失の一部を回復しています。
豪ドル、ロシアルーブルは引き続き下落基調
中国経済の流動性の代理として取引されることの多い豪ドルは、引き続き圧力を受けており、米ドルに対して昨日の安値に向かって下落しています。中国経済の見通しの悪化に加えて、オーストラリア国内の金融政策も重荷となっているようです。本日公開されたオーストラリア準備銀行による政策会合の議事録では、キャッシュレートがピークに達したとの見解が明らかになりました。
ロシアのルーブルもここのところ下落しており、昨日ウクライナ紛争開始以来初めて1ドルあたり100レベルを更新しました。ロシア中央銀行は本日、緊急に金利を3.5%引き上げ、ルーブルは一時的に上昇しましたが、既にその上昇を維持するのに苦戦しているようです。
円安進行で為替介入へ警戒感、英賃金データからポンド上昇
一方、日本円は1ドル146円に近づくにつれ、日本政府による為替介入が警戒されるため、けん制体制のようです。鈴木財務相は、為替市場での行き過ぎた動きに対して警告しましたが、政府は通貨の水準をターゲットしていないと再び強調したことから、介入が差し迫ってはいないことを示唆しています。
本日発表された日本のGDPデータによると、日本経済は第2四半期において年率6%という驚異的な拡大を示しており、予想の3.1%増をほぼ2倍上回りました。しかしこの成長は、輸出の急増と輸入の減少に起因しており、全体として消費は減少しているため、日銀の目標とする国内主導の需要とはなっていないようです。
このためか、本日の日本円は、投機的な取引と安全避難所の流れの中で、若干まちまちで取引されています。
本日、イギリスは予想を大幅に上回る賃金上昇率を背景に、1.27ドルを超えて上昇しています。6月までの3か月間に雇用が予想外に減少したことも浮き彫りとなり、このデータは全てプラスの内容ではなかったものの、賃金と物価の上昇スパイラルが緩和の兆しを見せていないことから、イングランド銀行は利上げを継続すると見られています。
明日イギリスのCPI指数が発表となるため、ポンドには依然として警戒感が残ります。
利回り上昇も株価は堅調、ゴールドは続落
本日、米小売売上高が発表される予定で、米経済のソフトランディングへの期待から注目されるでしょう。FRBが今年は金利を据え置くと市場は確信していることから、好調な小売売上高により米国債利回りをさらに押し上げ、米株価に打撃を与えるリスクがあります。
米10年債利回りは本日も上昇し続けており、昨年11月の高値に近づいています。この利回りの上昇は、ドルを押し上げる一方でゴールドを押し下げています。ゴールドは現在、7週間ぶりの安値辺りで取引されており、1オンス1900ドルを下回る寸前まで下落しています。しかし株式は、比較的回復力を維持しており、投資家は「下値で拾う」ディップ買いの機会を模索しているようです。
この代表的な例はエヌビディアで、AI半導体の需要が急増するを予測される中、モーガンスタンレーがエヌビディアの株式投資判断を奨励したことから、昨日株が7.1%も急上昇しました。このため、S&P500は0.6%上昇、ナスダック総合指数は1.1%上昇しましたが、ここ数日間で小売業者の決算報告が続くことから次なる脚光を浴びることになるかもしれません。