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日銀のイールドカーブコントロール修正で円上昇
本日、日銀がイールドカーブコントロールの運用の柔軟化を決定したことを受けて、円が急騰し、世界市場のボラティリティが上昇しました。日銀は政策金利を据え置いたものの、長期金利の上限の0.5%超えを容認することになりました。
今まで上限として強固に設定されてきた10年債の利回りは、0.5%から1%に引き上げられました。債券市場で急激な動きが起きた場合、日銀は介入して、上限を引き下げることが可能です。日銀の政策発表の数時間前に、日銀のイールドカーブコントロール修正の可能性がメディアを通じてリークされたことを受けて、投資家がポジション調整に動いた為、円が上昇しました。日銀は今まではメディアリークは行ってこなかったことから、植田総裁は黒田前総裁よりも市場の動きに気を配っているようです。
メディアリークによって、円相場の急変動が緩和されました。円相場は本日の始値付近での推移を維持しているものの、本日の値幅は2%を超え、ボラティリティが上昇しています。日10年債利回りは、2014年以来の最高水準となる0.58%まで上昇しています。
日銀の政策変更は、今年に入って上値の重い展開となっていた円の回復チャンスとなりました。他市場の利上げサイクルがほぼ終盤に入る中、他通貨との金利差縮小は円のメリットになります。今後、市場は円高に振れるリスクを考慮する必要があるでしょう。
米経済指標結果で米ドル上昇、ゴールド下落
ECB政策会合後のユーロ安、及び米経済指標の堅調な結果を受けて、昨日の米ドルは二番目に強い通貨となりました。
底堅い個人消費に支えられ、米第2四半期GDPは前期比2.4%増となり、市場予想を上回りました。失業手当申請件数の減少、及び米経済のソフトランディングの見通しが米ドルを押し上げたようです。
米経済指標の強い結果が翌年の利下げ観測を後退させ、米10年債利回りは心理的節目となる4%越えを達成後も、続伸しました。米ドルが上昇する一方で、ゴールドが下落しました。現在、ゴールドは50日平均線上の1950ドル付近で安定して推移しています。
ECBの慎重姿勢でユーロ下落
昨日の米ドルと円の上昇により、ECB政策会合後のユーロが一段安となりました。市場で広く予想されていましたように、ECBは利上げを決定したものの、タカ派寄り姿勢は示されず、追加利上げにも言及されませんでした。
ラガルド総裁は最近の経済指標の脆弱な結果を踏まえて、見通し悪化に注意を促し、ECBがインフレよりも景気後退リスクを懸念していることが明らかになりました。市場では利上げサイクル終了と判断され、ユーロ安が加速しました。
ユーロ圏経済の見通し悪化、及びECBが慎重姿勢に傾く中、日銀が異次元の緩和政策終了に向けて大きな一歩を踏み出し、ユーロ/円の下振れリスクを増幅させました。ユーロ圏経済を牽引するドイツの第2四半期GDPが3期連続で低下したことも、ユーロの売り圧力を強めました。
本日に発表される独7月消費者物価指数、及び米6月個人消費は、市場の注目を集めるでしょう。