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・米失業保険申請件数の減少でFRB利下げ観測後退、米ドル上昇
・英小売売上高も好調でポンドのサポート、日銀政策修正観測後退で円安へ
・大手ハイテク社の決算報告からハイテク株売り、ダウ・ジョーンズ上昇もナスダックは下落
市場は米経済データで現実に直面
昨日、堅調な米失業保険申請件数が発表され、FRBによる来年の利下げ観測が後退しました。失業保険は、7月15日までの週に22万8千件まで減少し、インフレ率の低下だけでFRBの物価上昇との戦いを緩和するのは十分との見方に疑問を投げかけました。
これで、年内の利上げ観測はやや高まりましたが、市場は来年のFRBによる利下げ回数を減少させました。この修正は大きなものではありませんが、来週のFRB会合へのリスクを強調しています。FRBは来週、0.25%の利上げが予想されていますが、パウエル議長による利上げ継続のメッセージは変わることがないと思われる中、来週の利上げが最後と確信しているようです。
しかし、見通しは非常に不透明で、FRBは最終的には市場の予想金利経路に従うことになるかもしれません。それは、好調な労働市場を除いて、今週発表された製造業と住宅市場に関するデータが必ずしも堅調とは言えないからです。
米ドル続伸、ポンド下落は一服、円安へ
米ドルは、米CPI指数発表後の下落から回復していますが、国債利回りの急上昇を反映して、雇用統計発表後に続伸しました。6月のCPI指数の低下から、FFファンド先物の大幅な価格改定を引き起こし、米ドルは他の主要通貨に対して15か月ぶり安値まで下落しました。ドル指数は弱気の軌道内にとどまっていますが、好調な労働市場がこの弱気を反転させる可能性があるため、米ドル下落は予想が難しくなるでしょう。
イギリスでも、6月の英小売売上高が予想以上に上昇したことから、ポンド下落はやや緩和しました。イギリスでは、6月のインフレレポートが金利見通しに大きな影響を与え、イングランド銀行がしつこいコアインフレに対処できなければ、信用問題のリスクになり得ます。したがって、経済成長指標が依然として明るい見通しである限り、イングランド銀行は引き締めサイクルを早期に停止する必要はないといえるでしょう。
しかし短期的には、水曜日の英インフレ減速の前におけるイングランド銀行の市場の最終レートの高さを考慮すると、ポンドの苦境は続く可能性があります。
ポンドのほかに、今週圧迫を受けているのは日本円です。米ドルの反発は、ここ数か月の大きな損失の一部を取り戻そうとする円の試みを拒みました。今週初めに日銀植田総裁が、来週金曜日の会合で超緩和政策の差し迫った転換の見通しを払拭する発言をしたことから、日本円は新たな売り圧力を受けています。
株式市場は今週低迷で締めくくりか
一方株式市場では、中国政府による経済活性化への対応が市場の期待外れとなる中、債券利回りの上昇が重荷となっているようです。中国政府は先週、自動車や家電など特定の商品の販売促進に向けた新たな措置を発表しましたが、中国の株式市場は若干赤字で取引を終えました。月末に控える中国共産党の中央政治局会議にて、さらに詳細を発表する可能性があります。
米株式市場は昨日、S&P500とナスダック総合指数が下落しましたが、ダウ・ジョーンズは上昇して取引を終えました。ジョンソン・エンド・ジョンソンやトラベラーズらが、予想を上回る収益を報告したことがダウ・ジョーンズの上昇に起因しています。
航空会社と金融関係も上昇しましたが、今週のネットフリックスとテスラによる期待外れの決算報告に対する反応が遅れる中、ハイテク株は打撃を受けています。米失業保険申請件数の減少と台湾の半導体メーカーTSMCが売上総利益の減収を報告したことから、リスクセンチメントは悪化しました。
この下落は単に利益確定の動きで、来週のマイクロソフトやアルファベットなどの決算報告が状況を反転させるのか、またはより深刻な調整の始まりなのかは、今のところ未定のままと言えます。