デイリーマーケットコメントー米インフレ減速で米ドル下落、株価とゴールドは急上昇

投稿日: 2023年7月13日18時06分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米インフレの冷え込みから米ドル下落
・株式市場は高値更新、ゴールドも上昇
・米生産者物価指数とECB前回会合議事録公開に注目

米CPI指数減速で米ドル下落

昨日の米インフレレポートの冷え込みは、世界市場に衝撃と与え、市場は金利経路の下方修正しました。米消費者指数で測定される6月の年間インフレ率は、3%と予想の3.1%をわずかに下回り、前月の4%から大幅に減速しました。

エネルギーと食料を除いたコアインフレ率も、5月の5.3%から4.8%まで減速し、予想の5.0%を下回りました。この指数から、米インフレの冷え込みが確認されましたが、基調的な価格圧力は目標の2%からはかけ離れており、逼迫する労働市場がFRBのインフレとの戦いを困難にする可能性があります。

この米CPI指数の結果に、金融市場は大きく反応し、特に米ドルは他の主要通貨に対して、15か月ぶりの安値まで下落しました。米国債利回りも同様に低下し、市場はFRBによる今月の利上げが引き締め対策の最後になると結論付けました。

日米の金利差の縮小から、日本円は上昇し、円高となっています。さらに、FRBの利上げ観測後退と、日銀による今月会合でのイールドカーブ・コントロール修正への憶測とともに、ドル/円は、金曜日以来約4%下落しています。

株価とゴールドはラリー再開

昨日の米インフレレポートにより、株式市場は今年のラリーを拡大しました。S&P500は、15か月ぶりの高値を更新し、米経済のソフトランディング達成への期待から、過去最高値にわずか7.2%近づいて取引を終えました。

株式市場では明日、大手銀行による決算報告を皮切りに、収益シーズンに焦点が移行します。前四半期と同様に、今期の収益シーズンは減益が予想されているため、おそらく、米企業にとっては、低く設定された予想をはるかに超えて前向きな収益を報告するのは簡単と言えます。そして、このダイナミクスが、株式市場の次なる勢いとなる可能性があります。

ゴールドも昨日急上昇し、重要なレジスタンスゾーンである1,960ドルを超えて取引を終えました。米実質利回りと米ドルの急降下とともに、市場はゴールドにゴーサインを出し、現在過去最高値から6%未満まで迫っています。ゴールドの次なる障壁は、今年のサポートとレジスタンスの両方として機能した1,970ドルから1,975ドル辺りとなるでしょう。

本日ECB会合議事録公開と米生産者物価指数発表

昨日、カナダ銀行が0.25%の利上げを発表しましたが、市場の想定内で、また今後の利上げを明確にしなかったことから、為替市場の反応は最小限に留まりました。中国では、低調な貿易データが発表されましたが、ほとんど市場に影響はありませんでした。

本日は、米生産者物価指数の発表があり、インフレ率減速への期待を確認する材料となるでしょう。失業保険申請件数も、米労働市場の健全性の手掛かりとなり、注目されます。ヨーロッパでは、前回のECB会合議事録が公開される予定ですが、ユーロの動向を左右するような重要な発言が含まれている可能性は低いといえるでしょう。