デイリーマーケットコメントー低調な米ISM 製造業PMIでリスクラリー後退、市場は様子見姿勢

投稿日: 2023年7月4日19時40分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米製造業PMI低下で世界的な製造業の不調さ浮き彫りに
・FRB金利経路は変化なしで米ドルと株価は安定、今週の米雇用レポートが焦点に
・豪中銀は金利据え置き決定で豪ドル一時下落も回復、原油価格はOPECプラスの削減も小幅上昇

低調な米ISM製造業PMIを受けてムード悪化

本日は、アメリカ市場が休場の中、強弱混合の米経済データから、市場はFRBの今後の方向性について考察しており、一般的に横ばいで取引されています。7月の取引は、上方修正された米GDP数値と軟調なPCEインフレデータを受けて、楽観ムードでスタートを切りました。しかし、昨日世界的に製造業景気指数が低調だったことから、景気後退への懸念が再浮上しました。

ユーロ圏での低調な景気指数の下方修正も懸念事項ですが、米ISM製造業景気指数が2020年のパンデミック以来の最低水準まで低下したことは、大きなショックとなりました。調査では、価格指数と雇用指数ともに急激に低下し、FRBによる年内の利上げ継続に疑念が生じています。

しかし、FF先物はほとんど上昇せず、市場は依然として、年末までに0.3%相当の利上げを織り込んでいます。今後数週間で、市場とFRBはターミナルレートを調整する可能性がありますが、本日の休場に加え、6月の米雇用レポートの発表を数日後に控え、今のところ、市場は様子見のようです。

株式市場は様子見姿勢

米株式市場では、本日の休場で月曜日の取引時間が短縮されたため、主要指数が小幅上昇し、先週のラリーを拡大しました。ヨーロッパとアジアの株式市場も、製造業の暗い見通しをほぼ払しょくしたようです。

1980年代に、金利の高騰から米経済が急激な景気後退に陥って以来、米国債利回りの逆イールドが進行していますが、市場の抑制とはなっていないようです。

しかし、金曜日の非農業部門雇用者数が予想を上回る場合、FRBによる今月の利上げ一時停止の解除への期待となり、状況が一変する可能性があります。

低調な米ISM景気指数で米ドル下落、豪中銀金利据え置きも豪ドル回復

低調な米ISM 景気指数に反応したのは米ドルで、昨日下落し、本日も横ばいで取引されています。

また本日、オーストラリア準備銀行が金利の据え置きを発表したことから、米ドルの軟調さは、豪ドルが損失を取り戻すのに役立っている可能性があります。豪中銀による金利据え置きの決定は、3会合連続で利上げをするとの予想もあったことから、一部の投資家とアナリストにとっては驚きの決定となりました。

豪中銀は声明にてタカ派を維持しましたが、全体としては引き締めサイクルの終焉に近づいているようです。

豪ドルは米ドルに対して、日中安値0.6639ドルを更新した後、0.6680ドル付近で取引されています。

一方日本円は、ここ数日、他の主要外貨に対して安定しており、日本政府がすでに為替介入を行ったのではないかとの憶測を呼びました。日銀が10年利回りのイールドカーブ・コントロールの上限を解除しないことから、財務省はここ最近、口頭で為替介入を警告してます。また、本日日銀による10年国債入札への強い需要から本日利回りは低下しています。

OPECプラスによる原油減産も原油価格は小幅上昇、ゴールドは堅調に上昇

コモディティ市場も、昨日OPECプラスが原油政策の新たな供給削減を発表したにも関わらず、精彩を欠いたセッションとなりました。サウジアラビアは先月に日量100万バレル自主削減すると発表し、昨日少なくても8月まで減産を延長することを決定しました。ロシアもまた、8月に50万バレルに自主削減すると発表しました。

しかし、原油価格は一時的に急騰した後反落し、本日は小幅上昇しています。このため、供給逼迫に対する懸念以上に原油価格は暗い見通しであると言えます。

一方ゴールドは、景気後退への懸念と米ドル安により、先週の3週間半ぶりの安値から反発して上昇しています。ゴールドは本日、1オンス1,930ドルに近づく勢いで上昇しています。