デイリーマーケットコメントー米失業保険件数増加で株価上昇、米ドル下落

投稿日: 2023年6月9日19時02分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 米週刊失業保険申請件数が1年半ぶりの高水準で、FRB一時観測高まる
• 利回り低下からハイテク銘柄上昇も中国経済の低調さが重荷に
• 米ドルは横ばいも安定、豪ドルが今週一の上昇をリード

米失業保険申請件数増加でFRB一時停止観測再び高まる

今週のオーストラリア準備銀行とカナダ銀行の利上げで、来週のFRB一時停止観測はやや後退しました。しかし昨日、先週の米失業保険申請件数が2021年10月以来の高水準に達したことで、一時停止観測が再び高まりました。4週平均の件数もわずかに上昇しました。

これが企業による解雇の増加と、週刊失業保険申請件数が歴史的に低い水準であるとの明確な兆しと見るのは、まだ時期尚早ですが、FRBが来週、利上げをスキップする可能性は高まりました。軟調な米労働市場は、引き締めを緩和するために不可欠な条件となります。

しかしながら、FRBとしては、来週の会合直前に発表される5月米CPI指数までは金利政策への決断を保留するでしょう。さらに、他の中央銀行が早急な一時停止に警戒心を示している中、FF金利先物の反応は非常に慎重であると言えます。

株式市場には根拠のない楽観ムードか

FF金利先物によると、FRBの来週の決定において、確率としては、早期の一時停止にわずか傾いただけで、市場の期待するような大きな反転とはなりませんでした。一方債券市場は顕著な反応を示し、米国債利回りが低下したことで、リスク選好に拍車がかかりました。

これにより、米株式市場は昨日、3つの主要指数すべて上昇で取引を終えました。水曜日の損失を完全に取り戻すことはできなかったものの、ハイテク銘柄とAI関連銘柄は上昇を再開しました。またS&P500は、昨年10月以来、強気市場の定義となる20%の増益を示すほど上昇しています。

一方アジア市場でも、中国からの軟調なデータに対して、「悪いニュースは株式にとっていいニュース」との反応を示しました。中国の消費者物価と生産者物価のインフレは5月に再び鈍化し、内需の低迷への懸念が高まりました。それでも市場は、中国政府が経済の停滞を防ぐための刺激策を提示することを期待しています。

本日のアジア指数は増益で取引を終えましたが、欧州市場はまちまちなスタートを切り、米先物は下落しています。

豪ドルが今週は最も上昇、米ドルは今週下落基調

利回りの低下は、FRB一時停止観測から、昨日米ドルに打撃となりました。ドル指数は、2週間ぶりの安値まで下落しました。一方、スイスフランは昨日、スイス国立銀行のジョルダン総裁のタカ派発言を受け上昇基調です。ポンドも昨日急騰し、1.25ドルを超えました。

しかしながら、今週はオーストラリア準備銀行による予想外の利上げから、豪ドルが今週最も上昇した通貨と言えるでしょう。カナダ銀行の利上げ再開後、カナダドルの上昇は控えめですが、本日のカナダの雇用統計が予想以上に堅調である場合、カナダドル上昇となる可能性があります。

一方日銀植田総裁が、来週の会合で政策変更の予定はないと示唆しているため、日本円は苦戦しているようです。