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・FRB利上げ継続観測から米ドル続伸
・債務上限合意への安堵感からゴールドは6週間ぶりの安値
・流動性流出への暗い見通しも株価は高値で取引開始
ユーロ/ドルは下落
今月、ユーロ/ドルの運命が一変しています。一連の堅調な米経済市場から、市場はFRBが夏頃に最後の利上げを行うと確信したようですが、対照的に製造業で問題を抱えるドイツが景気後退に陥ったことから、ユーロ圏のデータパルスは脆弱化しています。
このように、欧州で暗い兆しを見せ始めたと同時に、アメリカにおいて景気後退の懸念が後退したため、ユーロ/ドルの転換は双方の経済の相違を基盤としています。この変化を反映して、今年後半に織り込まれていた米利下げ観測はほぼ後退しています。
今週発表となる経済指標によって、このユーロ/ドルの下落はより進行する可能性があります。企業調査によると、米労働市場は今月引き続き好調である一方で、ユーロ圏のインフレは冷え込んでいるようです。このため、FRBの利上げ継続観測が高まる一方、ECBの利上げ観測は後退しています。
債務上限合意からゴールド下落
米ドル復活と債務上限合意からの安堵感から、ゴールドは本日、1オンス1,935ドル付近を下回り、6週間ぶりの安値を付けました。
FRBによる金利経路の上方修正から米ドルが上昇し、同時に利回りの上昇となりました。このため、利息の発生しないゴールドの魅力が低下することになります。また、米政府の債務上限への合意の見通しからデフォルトに対する懸念が後退し、安全資産の需要が減少しています。
明るい話題としては、ゴールドの下落はそれほど深刻ではないことから、根本的な需要を示唆しています。すなわち、中国人民銀行が主導する各国の中央銀行によるゴールドの購入が水面下で引き続き行われている可能性が高いと言えるでしょう。
特に今週発表の米非農業部門雇用者数が、過去13か月で12回連続で上昇する場合、ゴールド下落は今のところ続くでしょう。ゴールドが過去最高値への上昇を再開するには、景気後退への懸念とFRBの利下げ観測の再浮上が必要となるでしょうが、当面どちらの可能性も低いでしょう。
株価続伸、トルコリラは最安値更新
米株式市場は、先週の金曜日、AI関連銘柄の急騰からハイテク銘柄先導で上昇しました。債務上限が合意に達し、デフォルトを回避したとのニュースを受けて、米株式市場は本日休日明けで再開するため、さらに上昇すると見られています。
債務上限への合意は、まだ議会を通過する必要があるため、容易ではありません。一部の共和党議員は、合意に反対の意を表しているため、複雑な事態となっています。
株式市場にとっての債務上限決議の暗い見通しは、財務省がこの夏の間、現金水準を再構築する際に予想される流動性の流出と言えます。新規発行債券が市場に出回ることで、量的引き締めがオーバードライブに陥るのと同様の影響が予想されるでしょう。このため、今年上昇しているリスク資産が打撃を受ける可能性があります。
最後に、トルコの大統領選にてエルドアン大統領が再選されたことを受けて、トルコリラは本日最安値を更新しました。基本的に市場は、今後5年間の不自然な低金利とインフレ経済政策を予期しているため、トルコリラ下落となっています。