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バイデン大統領とマッカーシー下院議長は、2025年までの債務上限撤廃で合意
先週金曜日に殆どの主要通貨に対して下落した米ドルは、米債務上限問題の明るい兆しにもかかわらず、本日も下落基調継続しました。先週末、バイデン大統領と共和党マッカーシー下院議長は、デフォルトを回避する為、31兆4000億ドルの上限を2025年まで撤廃することで原則合意しました。
次の段階は、共和党を過半するを占める下院と、民主党が過半数を占める上院において、承認される必要があります。今後の焦点は、6月5日の期限までに両議会を通過するかになります。
先週金曜日と本日は米ドル高が一服したものの、大筋合意は経済的不安定性への懸念を払拭し、米利上げ観測を上昇させるポジティブな展開となりました。FF金利先物によりますと、6月の0.25%の利上げの可能性が63%に上昇し、7月までの利上げはほぼ確実視されているようです。
米ドルは上昇継続見通し、しかしながら反転の判断には時期尚早
FRBメンバーのタカ派的発言は市場の注目を集め、利上げ観測にも大きく影響を及ぼしました。一部のメンバーは6月利上げを支持したり、利上げの一時停止後の追加利上げも示唆しました。一方で、利上げは今後の経済指標結果次第との見解を示すメンバーもいました。しかしながら、全てのメンバーは、利下げの協議開始は時期尚早との見方で一致しました。これを受けて、数週間前の年内1回の追加利上げ予想から3回の利上げ予想に引き上げられました。
今週の米雇用統計が強い結果となり、利下げ観測が一段と後退した場合には、当面の間、米ドル高が継続するでしょう。しかしながら、完全な米ドル高への反転と見なすには時期尚早です。米利上げ観測の大きな変更で、米ドルインデックスの上昇は4%未満に過ぎす、年内の0.25%の利下げ観測のみの残っています。したがって、米ドルの一段の上昇は限定的となる可能性があります。
米ドルが一段と上昇し、米ドル高の流れに反転するには、FRBメンバーが翌年初めの利下げ観測を後退させる必要があるでしょう。翌年の利下げ観測後退が米ドルインデックスを105.50まで押し上げ、デイリーチャート上の「ダブルボトム」の完成で反転シグナルが示されるでしょう。
トルコの大統領選挙でエルドアン大統領が再選され、トルコリラが最安値を更新しました。エルドアン大統領がインフレ抑制のために超低金利政策を指示している為、トルコリラの一段安の余地があるでしょう。
ハイテク銘柄急騰で米株価上昇
先週金曜日の米主要3指数は1%以上値上がりし、米株式市場は上昇しました。週末の債務上限問題を巡る協議に向けての進捗を報じるニュースが株高に繋がったようです。AI銘柄の株価が二日連続で上昇し、ハイテク銘柄が中心のナスダック指数が上昇を牽引しました。マーベル・テクノロジーがAIチップの売上が前年比で2倍となる予想を公表し、株価が30%以上急騰しました。エヌビディアは堅調な予想で先週木曜日に約25%急騰後、翌日には2.54%上昇しました。
ナスダック指数は、昨年10月の最安値以来、37%以上値上がりしています。米利上げ観測の見直しにより、株価反転のリスクも上昇しています。利上げは、企業の借り入れコスト上昇、及び現在の価値下落に繋がります。
債務上限問題の合意は、経済的不安定性のリスクを解消する為、短期的にはポジティブ要因となります。しかしながら、長期的には国債利回り上昇、及び株価下落に繋がるでしょう。