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・米ドルは回復を拡大、株価はリスクオフセッションで下落
・英インフレ予想以上の上昇もポンド上昇維持できず、NZ中銀の利上げ停止示唆からNZドル下落
・債務上限への交渉は未だ合意なしでもリスクは合意後か
FRB金利経路は再調整も株価には影響なしか
昨日、株価は下落し、米ドルは安全資産としていくらかの需要を得たことから、市場には警戒感が漂っています。いくつかのリスクが見通しを曇らせている一方、今月、資産間での調整が上手くいっておらず、市場の懸念は再確認されているようです。
FRBの金利経路に対する期待は、「より高く継続する」との方向へ大きく変化しました。市場価格は現在、7月に利上げを行う可能性を五分五分としていますが、堅調な米経済データを受けて、年内の利下げ観測は、ほぼ後退しました。
この金利経路の再調整は、過去数週間の米ドルと米国債利回りの上昇に明確に反映されています。しかし、株式市場はこの傾向を無視しているようで、ハイテク銘柄の多いナスダックは利回りと連動して上昇しています。理論的に利回りの上昇は、株式のようなリスクの高い資産にとって良いニュースとは言えないため、奇異な現象と言えます。
米ドルや金利に敏感な資産はFRBの動向への期待を反映しているにも関わらず、株式市場は、もはやFRBの動向を材料視していないようです。
ポンドは上昇を維持できず、NZドル下落
イギリスでは、本日4月のCPI指数が発表され、予想以上に大幅に上昇したことが示されました。コアCPI指数は、横ばいとの予想に反して30年ぶりの高値を更新したことで、イングランド銀行によるインフレ抑制へのこれまでの政策は不十分との懸念を再燃させました。
このデータ発表後、ポンドは英中銀による継続的な利上げ観測から一時的に上昇しましたが、おそらくイングランド銀行は、持続的なインフレ圧力抑制のために、英経済の景気後退を伴う政策を実施するのではとの懸念から、その後ポンドの上昇は停滞しました。
一方ニュージーランドでは、ニュージーランド準備銀行による本日の政策決定を受けて、NZドルは下落しました。ニュージーランド準備銀行の0.25%の利上げにも関わらずNZドル下落となったのは、会合においてメンバーの半分が利上げの一時停止を支持してたことが明らかになり、またおそらくこれが金利のピークとなり得るとの声明によると見られます。中国経済の減速の兆候もまた、NZドルのようなコモディティ連動通貨には弊害となります。
本日FRB会合議事録公開、債務上限への交渉は続く
FRBの金利経路の再修正と昨日の明るい企業調査が後押しとなって、米ドルは復活の兆しが見られます。市場は本日発表のFRBの今月会合の議事録に注目することになるでしょう。FRBメンバーでも意見が分かれている今後の引き締めに関して、何かしらのヒントがあるかが焦点となるでしょう。
政治面では、米債務上限交渉は膠着状態にあるようで、デフォルトへの懸念が浮上しています。しかし、デフォルトは市場にとっては、真のリスクではないかもしれません。壊滅的なデフォルトは、両党にとって都合が悪いため、政府が封鎖されたとしても、最終的には何かしらの妥協点が見つかると思われます。この交渉は政治的なゲームであり、投資家は完全にこのことを理解しているようです。
代わりに、真のリスクは、両党が合意に達した後に何が起こるかでしょう。財務省は、貸入れを急激に押し上げ、新たに発行された債券を市場を氾濫させることで、現金の水準を上げるために緊急に対応するでしょう。この過程は、量的引き締めの効果を増幅させ、金融システムから流動性を排出し、実質的に効果が薄れる可能性があります。
最終的な債務上限への合意が達成される場合、流動性に悪影響を及ぼし、株式や仮想通貨などのリスクの高い資産が夏ごろまでに脆弱となる可能性があるでしょう。