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・債務上限問題を巡って両党間で交渉続く
・FRBメンバーのタカ派発言から株価低迷も米ドル上昇
・ユーロ圏のPMI数値は強弱混合でユーロ下落
債務上限問題を巡って合意はまだ
アメリカでは、債務上限の引き上げに関する問題について、バイデン大統領とマッカーシー下院議長の間で交渉を重ねていますが、いまだに合意には達していません。両氏ともに、「デフォルトは選択肢にない」ことには同意していますが、昨日の協議は「建設的な会合」だったにも関わらず合意なしに終了しました。
イエレン財務長官が、早ければ6月1日にも現金を使い果たす公算が大きいと繰り返し警告する中、関係当事者の合意への時間は限られています。どのような取引も、議会を通過するのに数日を要するため、交渉担当者は合意までにかなり限られた日数しかありません。
米株式市場は好調なハイテク銘柄が牽引
この債務上限交渉への懸念は、米株式市場の心配材料となっていますが、アルファベットやマイクロソフトといった大手ハイテク銘柄の上昇によって、主要指数も押し上げられています。S&P500は、9か月ぶりの高値で取引されており、ナスダック100も昨日、1年ぶりの高値を更新しました。
半導体銘柄の下落も、ハイテク銘柄の多いナスダックには打撃とならず、年初以来の25%上昇を拡大しています。中国政府は、米半導体大手のマイクロン・テクノロジーの国内での大規模なインフラ・プロジェクトへの調達禁止を発表しました。これにより昨日、マイクロン・テクノロジー株は下落し、他の半導体銘柄も下落しました。この中国政府の対応は、バイデン大統領の目指す「中国との関係改善」に疑問を投げかける形となりました。
FRBメンバーは利上げ一時停止に消極的か
FRBメンバーによるタカ派発言から、米国債利回りが再び上昇していることも、株式市場の懸念材料となるでしょう。10年債利回りは、3.75%近くまで上昇し、銀行危機以来の水準に近づいています。
FRBパウエル議長は、次回会合での利上げ一時停止を示唆しましたが、他のメンバーはインフレが十分に減速しているとは確信していないようです。セントルイス連銀ブラード総裁は昨日、年内にさらに0.5%の利上げの必要性があることを示唆し、タカ派に徹しました。
ミネアポリス連銀カシュカリ総裁も、銀行の混乱が続く可能性から、潜在的な信用収縮を懸念し、6月に一時停止するとしても、今後の利上げの可能性もあると述べました。
FRB利上げ継続観測から米ドル上昇、欧州各国のPMIは予想下回る
これまでに明らかとなっているのは、FRBが6月に利上げの一時停止を選択するとしても、利上げが完全に終了したことを示すものではないということです。市場はFRBタカ派の意見をようやく受け入れているようで、利下げ観測はここ数日で大幅に後退し、12月までの利下げは現在、0.25%と織り込んでいるようです。
これにより、米ドルは2か月ぶりの高値まで上昇し、ユーロやポンドなどの他の主要通貨は下落しています。本日、欧州のPMI速報値が発表されましたが、予想を下回るものでした。フランスとイギリスのサービス業PMIは期待外れの結果となり、ドイツでのサービス業PMIは5月に急増したものの、製造業PMIは36か月ぶりの低水準まで落ち込みました。
この結果にも関わらず、ユーロは1.08ドルを維持し、ポンドは1.24ドル以上を維持する可能性があります。ポンドに関しては、明日イギリスのCPI指数が発表になることから、明日の動きが注目となるでしょう。
一方、本日の日本のPMIが上向きであったことを受けて、日本円は概ね堅調に推移しました。