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米雇用統計の強い結果への市場の反応は限定的
米4月非農業部門雇用者数は市場予想を大きく上回る25.3万人増となり、再び強い結果となりました。より重要なのは、失業率が50年ぶり低水準となる3.4%まで改善し、賃金上昇に加速が見られたことです。
しかしながら、予想外に好調な4月の結果よりも、3月の速報値の下方修正に市場の関心が集まり、米利下げ予想に大きな変化は見られませんでした。
FRBが米利上げの一時停止の可能性を示唆した後、米非農業部門雇用者の好調な結果が市場の動きに繋がるはずでした。しかしながら、代わりにハードランディングへの懸念後退に繋がり、市場は7月の利下げ開始を予想しているようです。
一方で、債券市場の動きはより顕著でした。先週金曜日の米10年債利回りは約0.1%上昇しました。米10年債利回りは、FOMCの政策決定後の数日間は下落したものの、その後回復しました。米ドルは、ポンド、及び豪ドル、カナダドル、NZドル等のコモディティ通貨に対して急落しました。本日の米ドルは、対主要通貨での下げ幅を一段と拡大させています。
米CPI発表を控え、FRBのヒアリング調査に注目
市場の関心は、今週水曜日に発表される米4月消費者物価指数に向けられています。米4月消費者物価指数は、米4月雇用統計よりも、今後の米利上げ予想に影響を及ぼすでしょう。市場予想は前月結果と同じ5.0%増が予想されていますが、インフレの2%達成への遅延を浮き彫りにする可能性があります。
本日後半にFRBが発表するヒアリング調査には、市場の注目が集まるでしょう。調査結果で過去3か月間の米商業銀行の信用収縮が明らかになった場合、米利下げ観測が上昇し、米ドルが下落する模様です。
FRBは先週の利上げ後、追加利上げを示唆しなかった為、調査結果への大きな懸念の可能性は低いでしょう。しかしながら、米商業銀行への根強い懸念、及び預金流出により、予想外の結果は市場の乱高下に繋がる見通しです。
米債務上限の期限が近付く中、米商業銀行への懸念後退
先週金曜日の米株式市場は、アップルの好調な決算結果、及びパックウエストの株価回復により、大きく値上がりしました。ファーストリパブリック銀行の破綻後、銀行株の下落が数日間継続しました。預金流出への懸念が緩和され、先週金曜日の銀行株は急反発しました。
S&Pの終値は1.9%値上がりし、ハイテク銘柄中心のナスダック指数は2.3%上昇しました。
ハイテク銘柄を中心とした株価上昇による楽観的ムードに市場は傾いていますが、状況は依然として不安定な為、銀行破綻の混乱収束と判断するには時期尚早です。
米商業銀行の健全性、及び景気後退への先行き不透明感に加えて、市場は米債務上限問題も考慮する必要があります。
明日、バイデン大統領はマッカーシー会議長と債務上限引き上げについて協議する予定です。しかしながら、債務上限引き上げ問題の早期解決の公算は低いでしょう。