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・日銀とECBの政策乖離より円は対ユーロで15年ぶりの安値
・豪中銀は予想外の利上げ決定で豪ドル上昇
・本日ユーロ圏のインフレデータ発表でECBの利上げ幅に影響か
日本円は対ユーロで15年ぶりの安値
今週、日本円はユーロに対して15年ぶりの安値を更新するなど大きな打撃を受けています。ユーロ/円は、パンデミック後のトレンドを拡大する勢いで、心理的領域となる150円を突破して勢いを増しています。
この円安の原因には、中央銀行の政策の乖離による典型的なケースが考えられます。日銀が金融引き締めを拒む中、他の主要中銀は急速に利上げを進めており、対円金利差は拡大し続けています。
本質的に、海外でより高いリターンを求める中、日本からの資本流出により、日本円は逃げ口として機能しています。ECBによる一連の大幅利上げから、欧州株式市場が記録的な高値で推移しているため、ユーロ圏は魅力的な投資先となっており、対ユーロでの円の下落は特に痛手となっています。
日銀による為替介入でもない限り、この円安トレンドを拒むような当面の展望はないといえます。日銀の次回会合は6月中旬であるため、銀行危機も一段落してリスクセンチメントも落ち着くことが予期されることから、安全通貨としての円の需要は低下するでしょう。
豪中銀は本日予想外の0.25%の利上げ決定
オーストラリアでは本日、オーストラリア準備銀行が政策決定にて、予想外の利上げを発表しました。市場価格は、豪中銀による利上げの可能性はわずか15%未満でした。
豪中銀は、現在のインフレ率は依然として高すぎるとして、引き締め傾向を慎重に再開しまし、将来の利上げへの可能性も示唆しました。市場は現在、約50%が夏までにもう一度利上げがあると見ています。
為替市場では、この予想外の豪中銀による利上げで、豪ドル上昇となりました。しかしながら、鉄鉱石価格の急落や週末に発表された中国の景況調査の悪化など、輸出に大きく頼るオーストラリアの経済にとって暗い状況を鑑みると、この豪ドル上昇が続く余地があるかは疑問といえるでしょう。
ユーロ圏のインフレと米債務上限が焦点に
ユーロ圏では、本日インフレデータの発表が注目となるでしょう。このデータは、今週木曜日のECB政策決定に先立って重要な指標となります。
市場は今週FRBによる最後の利上げを織り込んでいますが、ECBの決定には取り巻く不確実性が影を落としています。市場はECBにより利上げをほぼ確信していますが、その幅については意見が分かれており、ほとんどは0.25%の利上げを支持してるようです。したがって、今後のインフレデータが重要視されるでしょう。
一方、米国の規制当局は月曜日に、ファースト・リパブリック銀行のすべての資産をJPモルガンが吸収する計画を画策し、銀行セクターでのさらなる影響への懸念を緩和しました。この発表と好調な米ISM製造業調査は、市場のムード高揚となり、米国債利回りと米ドルは押し上げられました。
昨日の株式市場は、ほぼ横ばいで推移し、イエレン財務長官が米国政府に対して、債務上限について合意がない場合、6月初旬までに財政資金が枯渇する可能性を警告したことは、あまり影響が見られませんでした。このリスクを懸念している唯一の市場は短期国債利回りですが、この財政資金が枯渇する日に近づくにつれて変化する可能性があります。
決算報告に関しては、本日もファイザー、AMD、スターバックス、そしてウーバーが四半期決算報告を控えています。