デイリーマーケットコメントー景気後退への懸念再浮上も米ドル上昇

投稿日: 2023年4月26日17時58分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米ドルと円は安全資産として上昇
・年内のFRB利下げ観測も再浮上
・ECB利上げ観測でユーロの上昇トレンドは継続か
・景気後退への懸念再浮上で米株式市場は下落

米ドルは安全資産として上昇

米ドルは昨日、円を除いた他の主要通貨に対して上昇しました。そのため、この上昇は安全資産流入の結果であったと思われます。本日米ドルは下落基調です。

実際、好調な米経済を示唆するデータやヘッドラインなしに、米ドルは上昇しました。それどころか、ファースト・リパブリック銀行が1,000億ドル以上の預金流出を発表した後、株価が記録的な安値まで下落しました。これらの期待外れの決算報告により、景気後退への懸念が再浮上したようです。

それに加えて、スペインのサンタンデール銀行が住宅ローン市場の減速を警告したことから、市場は銀行危機の影響がまだ深刻で、株式だけでなく国債利回りにも圧力がかかっていることを再確認する機会となったようです。米ドルと米国債利回りの差は、ドルが好調な経済データやFRB利上げ観測ではなく、リスクオフ環境の恩恵を受けていることを証明しています。

来週のFRB会合では0.25%の利上げがほぼ確実視されていますが、市場は現在、12月までに合計で0.5%以上の利下げを再び織り込み、来年もさらに利下げが行われると予想しています。

ECBはタカ派に徹してユーロの後押しか

一方で、ECBは今年、あと3回にわたって0.25%の利上げを行い、利下げはないと大方予想されています。30%は、来週のECB会合における0.5%の利上げを支持しています。

いずれにせよ、ECBは他の中央銀行と異なり、利上げを継続すると見られているため、それがユーロを押し上げて上昇トレンドを維持しています。今年の利下げが見込まれていない中央銀行は、他にイングランド銀行とスイス国立銀行です。

米ドルが安全資産の流れを引き付けている場合、ユーロ/ドルのさらなる下落はないとはいえませんが、現時点では本格的な反転となる可能性は低いでしょう。FRBとECBの政策の乖離は、強気筋を引き付けて、すぐに反発して、1.1070付近まで巻き返す可能性があります。このゾーンを突破できれば、上昇トレンドは5月31日に更新した高値である1.1175近辺まで拡大するかもしれません。

リスク回避で株価下落

昨日米株式市場は、3指数全て1%以上下落しました。特にハイテク株の多いナスダックは、2.32%急落し、3月9日以来最大の下落幅を更新しました。景気後退懸念の高まりから、一部の投資家は株式などのリスク資産を放棄した可能性があります。しかし、全体として、株式市場の状況は弱気トレンドとは程遠いでしょう。

流動性とFRB利下げ観測が指数を支えており、昨日株価は下落したものの、S&P500は主要なレジスタンスゾーンである4150付近に留まっています。先物市場は、マイクロソフトとアルファベットの好調な決算報告により、本日高値での開場を示しています。

バリュエーションは、多くの株式が依然として過大評価されていることを示唆していますが、米株式市場の大手企業は、今後四半期および数年の予想されるキャッシュフローを割引くことによって評価される高成長テクノロジー企業です。これにより、一部の収益と将来の見積もりは堅調な結果が見込まれ、FRBによる利下げ観測により、現在価値が上昇し続ける可能性があります。これが投資家への魅力となり、株価指数が下落したとしても、高成長企業による十分な実績により、損失は限定的となるかもしれません。