デイリーマーケットコメントー堅調な米PMIで市場は安定、今週は日銀政策決定

投稿日: 2023年4月24日19時11分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 米経済活動は4月に拡大もFRBは5月以降金利据え置きか
• ハイテク株と米経済指標の発表を前に米ドルと米株価は強弱混合
• 日銀の政策決定前に日本円は安定、ユーロ圏はPMI好調でECBタカ派維持

堅調な米PMIも市場観測は変化見られず

米経済は、継続的な利上げと銀行危機にも関わらず、経済成長の急激な減速への憶測に反して、景気後退のリスクを回避しているようです。S&Pグローバルの米PMI速報値によると、4月の企業活動は、サービス部門と製造業ともに予想以上に好調で、景況拡大を示しています。

経済活動全体を測定する総合PMIは、11か月ぶりの高水準に加速し、銀行を巡る混乱による実質経済への持続的な影響はほとんどないようです。しかし、投入価格と雇用の上昇が見られることは、FRBと市場の心配材料になり得ます。

このPMIと先週のFRBウォラー理事のタカ派発言を受けて、市場は現在、来週での会合で0.25%の利上げを織り込んでいますが、利下げ観測は低下しています。

クリーブランド連銀メスター総裁やFRBクック理事の発言も含め、先週のFRBメンバーによるバランスの取れた発言により、市場は来週の会合で予想される利上げが最後になると期待しています。FRBが来週の利上げ後、一時停止を示唆するかは、ここ数週間で貸出基準が厳しくなったかどうかの証拠によるでしょう。FRBは独自に、企業や消費者への信用拡大に関する調査を進めており、信用引締めの兆候が見られる中、最新のレポートの結果を注意深く見守ることになるでしょう。

米ドルの強気トレンドは限定的、ECBタカ派維持でユーロ上昇

金曜日の好調なPMI発表後もFRBの金利予測に変化がなかったことから、米ドルは若干下落しました。年内の利下げの可能性は低いとのFRBのメッセージを市場は徐々に受け入れているようで、ECBなどの他の中央銀行によるタカ派発言とともに、米ドルの強気トレンドを妨げているようです。

ECBのラガルド総裁は、金曜日にさらなる利上げの必要性を繰り返し、オランダ中銀のノット総裁も引き締めサイクルが夏まで続く可能性を示唆しました。

ユーロ圏のPMI指数は、4月に予想以上に上昇しましたが、同時に製造業の落ち込みも浮き彫りになりました。イギリスのPMI数値も好調でしたが、ECBのタカ派姿勢から、ユーロはポンドよりも勢いを増しているようです。

ユーロ/ドルは本日、1.10ドル台、ポンド/ドルは1.2450ドル前後と小幅上昇しています。

金曜日に日銀政策決定

今週は、木曜日に米GDP速報値、金曜日にユーロ圏GDPと米PCEインフレ測定値など、重要なデータが続きます。FRBとECBは来週に政策会合が行われるため、これらのデータは政策決定に重要な役割を果たすかもしれません。

また、今週の金曜日には、日銀の植田新総裁による初めての政策決定が予定されています。しかし、植田新総裁は、当面の間、政策緩和を継続すると述べているため、今週の発表にはサプライズは用意されておらず、今年後半の政策決定で何らかの政策修正が予定されていると見られています。

日銀による政策調整の期待が低下する中、日本円は本日、米ドルに対して若干圧力を受けており、円安傾向は継続するでしょう。

今週は大手ハイテク決算報告が続く

金曜日の米株式市場の静かなセッション後、本日米先物が下落しているため、欧州株式市場も下落しています。しかし、明日のマイクロソフトとアルファベット、および木曜日のアマゾンと大手ハイテク社の決算報告が続くため、今週は市場に活気が戻って来るでしょう。

これら大手ハイテク社は、いずれもクラウドユニットによる好調な成績から恩恵を受ける可能性がありますが、市場は各社のAI戦略についてもっと興味があるはずです。