デイリーマーケットコメントー米ドルは週刊上昇基調もFRB利下げ観測高まる

投稿日: 2023年4月21日18時22分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・軟調な米経済指標でFRB方向転換への期待高まる
・ECBは引き続き利上げ継続観測
・日本円は安全資産の恩恵と日インフレ指数上昇により上昇
・米株式市場はテスラとAT&Tによる決算報告で下落

FRBによる最後の利上げ予想も年内の利下げ観測高まる

米ドルは昨日、主要通貨のほとんどに対して下落しましたが、本日は回復しているようです。

先週金曜日のFRBウォラー理事のタカ派発言を受けて、市場はFRBによる次回5月会合での利上げを確信し、年末までの利下げ観測を低下させました。これにより米ドルは、ほぼ2か月ぶりに週単位での上昇基調となりました。FRBがブラックアウト期間に入る数日前となる現在、クリーブランド連銀メスター総裁は、FRBがまだ利上げを行う用意があるとして次回会合での利上げに信ぴょう性を加えました。

そうは言っても、今週の米ドル回復は著しい復活には程遠いと言えるでしょう。昨日発表された米経済データは依然として景気後退への懸念を示唆するもので、市場は現在、12月までに約0.5%相当の利下げと2024年でのさらなる利下げを織り込んでいます。

先週の米新規失業保険申請件数は再び増加し、米労働市場が徐々に冷え込んでいることを示唆しています。また、フィラデルフィア連銀の調査によると、この地域の製造業は4月に約3年ぶりに低水準まで縮小し、今後2四半期にわたって、企業活動が抑制されると予想しています。

ECBラガルド総裁はタカ派発言、日本円は上昇基調

FRBとは対照的に、ECBは合計で0.75%の利上げが予想されており、年内の利下げは織り込まれていません。昨日ラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレ率は高すぎるとし、インフレ抑制のために金融政策は「もう少しするべきことがある」と述べました。

この発言は市場の期待に沿うため、ユーロ/ドルの後退は限定的となる可能性があります。このFRBとECBの政策の差により、ユーロは対米ドルで、近いうちに1.1035ドルを抜けて上昇するかもしれません。

日本円は本日、米ドルが上昇していない唯一の通貨です。これは、米経済の動向が懸念される中、日本円が安全資産としての魅力を発揮したのかもしれません。また、日本の消費者物価指数が予想の0.1%を上回って、前月比で-0.6%から0.4%まで回復したため、日本円がサポートされたのかもしれません。

このデータで、日本のインフレが減速し続けるかに疑問が生じたため、日銀による早期の政策正常化への期待が高まったと言えるでしょう。しかし、日銀は来週に会合を控えていますが、これが植田新総裁初の会合となるため、当分の間は政策変更はないと予想されています。

景気後退への懸念が米株式市場の重荷に

昨日の米株式市場は、テスラとAT&Tによる決算報告を受けて、3指数全て下落しました。

テスラは、過去2年間で最低の粗利益率を報告し、またCEOであるマスク氏が需要拡大のために価格を引き下げると発表したため、株価は約10%下落しました。これで電気自動車の潜在的な価格戦争を引き起こし、他の自動車メーカーの株価にも打撃となりました。一方で、AT&Tの株価は、収益とフリーキャッシュフローの見積もりが下回ったため、10%以上下落しました。

米経済への懸念も引き続き株式市場の重荷となっているようです。しかし、年末までの利下げ予想から、株式への投資も選択肢として留まる可能性があるため、長期的な弱気トレンドと見るのは時期尚早と言えます。S&P500は、4150の壁を突破するのに苦労しているようですが、金利低下を示唆するデータから、勢いを得て壁を突破する可能性があります。指数が3800を下回る場合は、見通しが暗くなるといえるでしょう。