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・英CPI指数の予想以上の上昇で英中銀利上げ観測高まりポンド上昇
・米国債利回りの上昇で円安も米ドル上昇は限定的
・本日のテスラ決算報告を控え、株式市場はムード向上
英インフレ加速でポンド上昇
本日、英CPI消費者物価指数が発表され、予想以上の伸びを示したことから、ポンドが上昇しています。これで、インフレ抑制のため、イングランド銀行による次回会合での利上げ観測に真実味が帯びてきました。
3月のイギリスでの消費者インフレ率は10.1%と前月よりも減速しましたが、エコノミストの予想は上回りました。同様に、コア指数は減速の予想に反して、6.2%と横ばいでした。昨日の英雇用統計では、イギリスでの堅調な賃金上昇が示唆されており、インフレは勢いを取り戻しつつあるようです。
市場は現在、イングランド銀行による次回5月での会合で、0.25%の利上げを織り込んでおり、さらに秋ごろまでに合計で0.75%の利上げを予想しています。この観測はポンド上昇につながり、特に日本円に対して急騰しているようです。
しかし、ポンドに対して楽観的になるのはまだ時期尚早といえるでしょう。今後、他の中央銀行での利上げが予想されており、イングランド銀行による期待外れの行動や軟調な英経済データにより、ポンド上昇の勢いが後退する可能性があるからです。さらに重要なことは、ポンドは株式市場の動きに連動するという古い慣習があり、ここ1か月はS&P500と86%の相関関係が見られることです。このため、株式の売りがポンドに打撃となり得ます。
ゴールドは底固く推移も円安へ
一方、市場はFRBの金利への道筋を再検討し、5月会合での利上げ確率は85%となっており、下落基調だった米ドルは小幅上昇しているようです。米経済がまだ後退していないと示唆する経済データが続いていることもあり、今年後半での利下げ観測は低下しています。
市場のFRB金利予測が修正されたにも関わらず、米ドルは回復せずに安定で留まっていることは注意すべき点と言えます。米ドルの上昇が限定的であることは、市場が依然として大幅な利下げを予想しており、タイミングが来年に持ち越されただけだからかもしれません。
ここ最近の米国債利回りの急上昇は米ドルを押し上げるのに効果を発揮せず、代わりに日本円に打撃を与えました。景気後退への懸念が減少し、日銀による差し迫った引き締めへの期待が低下したため、ユーロ/円やポンド/円は、先月大きく変動しました。
今後の見通しが不透明な中、株価上昇
一方株式市場は、まだ活気に満ちているようです。市場が下振れ保護の購入に消極的となり、ボラティリティ指数が低下している中、株価の下落幅は浅く、すぐに買われ、バリュエーションは極端な水準に達しています。これは、サプライズを予想していない市場と言えます。
FRBは利上げ停止のブレーキを緩めようとしており、企業の決算報告も予想を上回っていることから、一般的に経済は予想以上に回復力があるといえるでしょう。ただ現実には、銀行を巡る金融システムへのリスク懸念から、流動性が市場に流れ込んできた結果といえるでしょう。
この流動性の衝動が落ち着きを見せ始めると、企業の決算報告は2四半期連続で縮小すると予想されているため、市場はこの高価なバリュエーションが収益後退にどのように対処するかを検討する必要があるでしょう。したがって、ここからの株価上昇は限定的となり、下振れは深刻となる可能性があるでしょう。
本日は、米株式市場閉場後に、テスラによる決算報告が予定されており、関心が集まるでしょう。