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・堅調な中国GDPで市場のムード緩和も景気後退への懸念は払拭できず
・アジア市場はまちまち、欧州株価は上昇、米株価は国債利回りの上昇が重荷
・ポンドは英雇用統計で上昇、豪ドルは豪中銀の議事録公開で上昇
中国の経済回復は順調か
本日は中国のGDPが発表され、1月から3月の第4四半期に予測の4.0%を大きく上回り、4.5%の拡大を示し、中国経済の景気の持ち直しが軌道に乗っていることを示唆しました。四半期レベルでは、成長率は前期の上方修正された0.6%から2.2%に加速しています。
しかしながら、この中国経済の回復は主に消費者主導であり、民間投資は依然として脆弱さが見られるため、回復の持続性について疑問が残り、この好調なデータも注意すべき点があるようです。不動産投資は、売上高の持ち直しにも関わらず、3月は3か月連続で新規開発が落ち込んでいるため、弱みの一つと言えます。
中国の3月の小売売上高は前年同月比で10.6%急騰しましたが、鉱工業生産は前年同月比で3.9%の上昇に留まりました。
中国のGDPの数値はかなり好調ですが、中国政府が抜本的な新しい措置を講ずることに消極的と捉えられる場合、年間約5%の成長という政府の目標を達成できるかに疑念が生じるでしょう。
堅調な経済データも市場の反応はまちまち
それでもなお、この中国のGDP数値における消費力の回復は、オーストラリアのような中国への貿易に依存する国には良い兆候となっています。中国はまた、輸出も前年同期比で8.4%の上昇を示しました。これにより、豪ドルは本日、最も上昇した通貨の一つとなりました。
本日はまた、オーストラリア準備銀行による前回の政策会合の議事録が公開され、4月の政策決定は金利据え置きを発表したものの、将来の利上げの可能性を明らかにしたことで、豪ドルはさら上昇しました。
しかし、アジアの株式市場はそれほど上昇せず、中国のベンチマークであるCSI300指数はわずか0.3%の上昇、香港の株価は下落で取引を終えようとしています。
バリュー株が欧州株価押し上げ、ハイテク株の決算報告に注目
ここ最近の米国債利回りの上昇にも関わらず、欧州株式市場は本日、プラスでスタートしました。多くの欧州の指数は、この高金利環境でバリュー株が再び脚光を浴びているため、今年は米株式指数を凌いでいます。
ハイテク株比率の高いナスダックはS&P500を上回っていますが、10年債利回りが3週間ぶりに3.60%という高値付近まで上昇しているため、ハイテク株はこの利回り上昇の圧力を感じ始めているようです。
大手ハイテク社の皮切りとして、本日ネットフリックスは決算報告を控えており、今週はテクノロジーセクターに注目が集まります。バンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスといった大手行の決算報告も続きます。しかしより重要となるのは、中規模銀行の決算報告ですが、今のところ強弱混合といったところです。
米経済の不透明な見通しがS&P500に影を落とす
昨日、チャールズ・シュワブが好調な収益結果を報告しましたが、ステート・ストリートの決算報告は大差で株価下落となりました。M&Tバンクと合わせて、この3行は銀行を巡る金融システムへのリスクから、600億ドルもの預金流出となりました。
米景気後退リスクを押し上げている信用環境の引き締めへの懸念は、しばらくS&P500に重くのしかかる可能性があり、第四半期の決算シーズンがどの程度この負担を軽減させるかはまだ不透明です。
よい兆候としては、ボラティリティ指数であるVIX指数は、2022年1月以来最低の水準に低下していることと、4月のニューヨーク連銀製造業指数が予想以上に上昇していることでしょう。本日の注目となる米経済指標は、3月の建築許可件数と住宅着工件数、およびカナダからのCPI消費者物価指数の発表となります。
米ドルは一段安、ポンドは好調な英雇用統計で上昇
本日発表された英雇用統計は、2月までの3か月間で16万9千件と予想を大幅に上回り、平均賃金も予測の減少に反して、5.9%上昇と安定を示しました。この逼迫した英雇用統計を受けて、ポンドは本日上昇し、米ドルに対して1.24ドルまで回復しました。しかし、明日発表の英CPI指数でインフレ率が10%を下回ると予測される中、イングランド銀行による5月の利上げはまだ完全には織り込まれていません。
一方FRBによる利上げ観測は現在、90%まで上昇しています。金曜日のウォーラー理事の発言を受けて、市場は今年後半における1回の0.25%の利下げを見込んでいます。FRBメンバーがインフレ率を2%に戻すことに力を注ぐと発言していることから、米ドルは1%以上反発しましたが、本日はその上昇を返還しており、日本円とユーロがその損失を取り戻しています。