デイリーマーケットコメントー低調な米ISM指数で米ドル下落、株価上昇

投稿日: 2023年4月4日18時37分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・3月の米製造業は縮小を示唆でFRB利下げ観測高まる
・米ドル下落、エネルギー株急騰で株価上昇
・豪中銀は金利据え置き発表、明日NZ中銀の政策発表

3月米製造業は5か月連続で縮小

世界市場には現在、インフレ加速と景気後退へのリスク懸念が広がっています。今週、OPECプラスによる減産計画発表で原油価格が急騰し、インフレへの懸念が復活しました。また、昨日の米ISM製造業総合景況指数の低調な結果を受けて、市場は景気後退懸念とともに取引を終えました。

ISM調査によると、3月の米国の製造業活動は5か月連続で縮小を示しました。新規受注は大幅に減少し、雇用動向が弱まったため、経営者は商品需要の見通しが暗いと判断したようです。この低調な結果は、経済が取り組んでいる課題を浮き彫りにした形となりました。

製造業は経済全体にとって「炭鉱のカナリア」、つまり危険の前ぶれと見られ、差し迫った景気後退の兆候が表れたことで、FRBの年内利下げ観測が高まりました。

米ドル下落、株価上昇

為替市場では、軟調な経済指標で利下げ観測が高まり、米国債利回りを押し下げたことで、米ドルは下落しました。ユーロとポンドは反転し、米ドルに対して昨日、1%以上上昇しました。

ゴールドは、米ドル安と実質利回りの低下から恩恵を受け、1オンス1,980ドル以上まで上昇しました。銀行危機以来、押し目買いの投資家が増加し、利下げ観測と利回りの低下によりゴールドを取り巻く環境は変化しています。

一方株式市場では、製造業からの警告はS&P500にはマイナスとなりませんでしたが、OPECによる減産計画発表で、エネルギー株が急騰したため、上昇で取引を終えました。全体として、FRBによってバランスシートは拡大し始め、数か月にわたる量的引き締めが取り消されたことで、株式市場には流動性に関して楽観ムードが漂います。

テスラ株が6%下落したにも関わらず、米株式市場が上昇を維持したことは注目すべきことでしょう。この下落の原因は、テスラの第4四半期での出荷台数が期待外れの結果となり、需要を強化すべく価格を引き下げた後も、改善が見られなかったことによります。

豪中銀は金利据え置き発表、明日NZ中銀により政策発表

株式市場の楽観ムードと商品価格の上昇の中、昨日豪ドルが米ドルに対して約2%上昇しました。しかし、オーストラリア準備銀行が本日金利据え置きを発表したため、この動きも限定的となっています。

豪中銀は、今後の引き締めの必要性について未定と示唆したことで、豪ドルは下落しました。しかし、豪ドルは昨日の上昇の半分も取り消していないため、世界的なリスクモードに警戒しているようです。

明日は、ニュージーランド準備銀行による政策発表が控えています。市場は0.25%の利上げを完全に織り込んでいます。しかし、NZ中銀も引き締めサイクルの終わりを示唆する場合、NZドルも影響を受けますが、堅調な国内の経済指標から、おそらくその確率は低いでしょう。