デイリーマーケットコメントーFRB利上げ停止示唆で米ドル下落、本日英中銀政策発表

投稿日: 2023年3月23日19時07分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBは0.25%利上げ発表も今後利上げ停止の可能性も示唆
・米ドルは他の主要外貨に対して下落
・FRBパウエル議長とイエレン米財務長官の発言で米株価下落
・スイス中銀0.5%利上げ実施、英中銀は0.25%の利上げか

FRB利上げ停止も示唆で米ドル下落

昨日FRBは、0.25%の利上げを実施しましたが、銀行セクターを巡る混乱から、将来の利上げ停止も示唆しました。このため、米ドルは昨日から続落しています。

また今後の利上げについては、「目標レンジの継続的な引き上げが適切である」と述べる代わりに、「いくらかの追加政策の確定が適切かもしれない」と述べました。この声明によって、早くも次回会合にて利上げ停止の可能性が示唆されたため、市場は早速、次回5月の利上げ停止観測を織り込みました。しかし、新たに示されたドットプロットは、依然として年末までの5.1%の金利を予測しています。FF金利先物によると、現在、利上げ停止と0.25%の利上げで意見が分かれています。

重要なことは、今後8か月以内に一連の利下げを予想していることで、金利は年末に4.15%辺りまで低下すると予測していることです。したがって、今後の利上げへのヒントやコメントを除いて、焦点は現在、利下げの可能性への議論となりそうです。

FRBパウエル議長は、政策発表後の記者会見で、銀行を巡る混乱の前は、最終レートを引き上げる必要があると考えていたと述べました。しかし、FRBの使命はインフレを2%に引き下げることで、このために利上げが必要であれば利上げの実施もあり得ると述べました。したがって、FRBが今後の利下げに反論して、さらなる利上げ実施を強調する場合、米ドル復活もあり得るでしょう。しかし、FRBが政策反転を示唆し始める場合、米ドルは下落に向かうでしょう。

イエレン米財務長官は銀行預金の全面的保証を否定

一方米株式市場では、主要3指数全てにおいて、当初はFRBの利上げ停止示唆を材料視して上昇しましたが、パウエル議長が会見で、必要であれば利上げもやむを得ずと発言したことで、それまでの利益を返上し、赤字で取引を終えました。

さらに、イエレン米財務長官が昨日、米連邦預金保険公社が議会の承認なしの「包括保険」、すなわち全ての銀行預金の保証は検討していないと述べたことも、市場によるリスク回避を促したのかもしれません。

ドル安と米国債利回りの新たな下落により、ゴールドは1,935ドル付近から反発しました。ゴールドは2,000ドル圏内まで上昇すると見られ、昨年3月8日に更新したピークである2,070ドル、または8月7日に記録された過去最高値の2,075ドルに向けて上昇する可能性があります。

スイス中銀0.5%利上げ、本日は英中銀政策発表も

本日、スイス国立銀行とイングランド銀行の政策発表が控えています。

スイス国立銀行は、先ほど0.5%の利上げを決定し、今後の利上げの可能性は否定できないと述べました。またインフレ予測も引き上げたため、市場は5月での0.5%の利上げを15%の確率とし、残りの85%は0.25%の利上げを織り込んでいます。これにより、スイス・フランは米ドルに対して上昇し、スイス中銀とFRBの金利予測に差がある限り、スイス・フランは上昇する可能性があります。

イングランド銀行も本日、政策発表が予定されており、英国のインフレが予想以上に上昇したことを受けて、0.25%の利上げがほぼ確実視されています。また、市場は今後2回にわたる利上げも予想しているようです。

したがって、市場は現在、0.25%の利上げをほぼ確実視しているため、本日の政策発表にポンドが反応する可能性は低いと言えます。このため、本日のイングランド銀行による将来の行動方針についての発言に注目が集まるでしょう。