デイリーマーケットコメントー銀行危機の中、本日ECB政策発表、新たな混乱で米ドル上昇

投稿日: 2023年3月16日19時04分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・昨日米ドルと日本円が主に上昇
・クレディ・スイス巡る懸念でスイスフランとユーロは最も下落
・本日のECBの利上げは0.25%か0.5%かで意見分かれる
・米株式市場は損失から回復も緊張感残る

クレディ・スイスを巡る懸念から市場は安全性求める

昨日米ドルは、日本円を除いた他の主要外貨に対して上昇しました。これは、クレディ・スイスの筆頭株主が規制上の問題を理由に支援を拒否したことから、市場の混乱を招いたためです。

これにより、スイス・フランとユーロが最も下落し、クレディ・スイスの自社株も過去最低まで下落しました。また、欧米の債券利回りは再び急落し、市場はFRB利上げ観測後退へ修正しました。昨日の段階では、早くて来週の会合で利上げを見送るとし、年内の金利は3.45%辺りと修正しました。また、昨日発表の2月の米PPI指数が予想を下回ったことで、消費者物価も今後数か月で急激に減速すると見られ、市場によるFRBの利上げ見送り予想になったようです。

しかし本日、スイス政府によるクレディ・スイス救済への協議開始とのレポートを受けて、米ドルは下落しています。その後、クレディ・スイスはスイス国立銀行から500億フランを借り入れると発表しました。一方、ニュージーランドのGDPが第4四半期に0.6%の縮小を示したことで、NZドルへの圧力が強まり、米ドルはNZ ドルに対しては上昇しているようです。

市場は現在、FRBが来週の会合で0.25%の利上げを行うと70%の確率で予想しているようです。しかし、金融環境に対する緊迫感は完全に払しょく出来ておらず、年内まで約1%の利下げを織り込んでいます。

先週、FRBパウエル議長は議会にて、タカ派姿勢で以前よりも高い水準まで利上げをする必要性を述べました。しかし、市場の現在の憶測と一致する新たなドットプロットを想定することは困難となっています。そのため、来週の会合をめぐるリスクは上向き傾向と言えるでしょう。

ECBは0.25%の利上げ減速か

本日、ECBによる政策発表が予定されており、市場はECBの利上げ観測も後退と見ているようです。ラガルド総裁が0.5%の利上げは非常に可能性が高いと述べているにも関わらず、市場は現在0.25%か0.5%の利上げに意見が分かれているようです。

したがって、ECBによる0.5%の利上げもまだ疑問の余地がありますが、本日0.5%の利上げが発表された場合は、ユーロも上昇する可能性があります。しかし、ユーロ上昇には、最新のユーロ圏の経済予測と今後のECB政策会合の見通しによるでしょう。

米株式市場は下落も取引後半に反発

欧州株式市場は、銀行セクターの安全性への懸念から売り圧力が強まり、昨日今年で最悪の日となりました。しかし、スイス政府とスイス国立銀行によるクレディ・スイス救済のレポートを受けて、米株式市場の主要指数は回復し、ナスダックはわずかな上昇で取引を終えました。ただ、世界の中央銀行が大幅な利上げを実施する場合、次の売りへのリスクは明らかであるため、依然として市場に緊張感が漂います。

株式の下落と世界の債券利回りの下落により、ゴールドは上昇し、月曜日に更新した高値を超えて2月2日に更新した1,960ドル辺りまで上昇しています。