デイリーマーケットコメントー銀行株急落も米CPI指数前に市場やや沈静化

投稿日: 2023年3月14日20時09分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・SVB破綻で金融株は売り圧力もパニックは緩和へ
・FRB利上げ観測後退で本日米インフレ指数に焦点
・ゴールドと仮想通貨は急騰後軟化、利回りは安定、米ドル上昇

銀行株急落はグローバルに影響も株式市場は反発

昨日、株式市場は、シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の破綻によって、銀行株が急落し、大幅な売り相場となりました。しかし、本日は多少落ち着きを取り戻しているようです。

この破綻を受けて、米国財務省とFRBは日曜日に緊急措置を発表しましたが、市場は波及効果を警戒し、米国および世界の銀行システムのへの懸念を完全に払しょくするには至りませんでした。米国の地方銀行株は依然としてリスクが高まっていますが、本日、市場のパニックも緩和しているようで、米株式先物はプラスに転じ、欧州株式市場も上昇で取引を開始しています。

ゴールドや日本円といった安全資産ははやや下落していますが、FRB利上げ観測が後退する中、準備通貨としての恩恵を受けられなかった米ドルは、本日損失の大部分を取り戻しています。

ブラックアウト期間中のFRBは発言なしで市場は試行錯誤

FRBは昨日、シリコンバレー銀行破綻を導いた銀行規制の見直しを誓い、声明を発表しました。しかし、来週に政策会合を控えたブラックアウト期間であるため、FRBメンバーは現在のところ、コメントを発表することができません。そのため、この破綻が引き起こした一連の出来事が、政策決定にどのような影響を及ぼすのかについて見解を述べることはできません。

しかし、短期金融市場では、FRBだけでなく世界の中銀による利上げ観測が後退しています。FRBの最終レートは、ほんの数日前までは5.6%以上だったにも関わらず、現在は5%未満と見られています。これに対して、市場価格は分刻みで大きく変動しており、市場がシリコンバレー銀行破綻の被害を測定するのに苦労していることを示唆しています。

VIXボラティリティ指数は、依然として高止まりしており、米株式市場の警戒感が大幅に後退するまでは、市場の期待をあまり織り込まない方が賢明と言えるでしょう。

本日発表の米CPIレポートは警戒か安堵か

現在のリスクは、本日の米CPI指数に市場がどう反応するかでしょう。現在市場は、FRBが次回会合で0.25%の利上げを実施した後、利上げを据え置きし、年内に利下げを行うと予想しています。

2月のインフレ率は、FRBが大幅に引き締めを緩和する必要がないことを確認する機会となるかもしれません。少なくとも今月は、巻き添え被害を明確に測定するには時期尚早といえるでしょう。

サービス部門の価格圧力はまだ減速しておらず、コアインフレ率が十分に低下していないため、SVB破綻による被害が米国の金融システムに深刻なリスクを及ぼさない限り、FRBは利上げを停止する理由はありません。

国債利回り低下もリスク選好は抑制

そうはいっても、米国債利回りが低下する中、インフレ期待が先週から急降下しているため、来週の会合では、ハト派転換の可能性もあります。

日本の10年債利回りでさえ急落しており、本日アジアセッションで一時0.20%を下回りました。しかしセンチメントは脆弱化しており、米ドルの回復に伴い、オーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルなどのリスクに敏感な通貨は後退しています。

昨日急騰したユーロとポンドは、本日わずかに下落しています。特に、堅調な英雇用データにも関わらず、ポンドはあまり恩恵を受けていないようです。

ゴールドとビットコインへ安全逃避も

安全資産の需要が緩和されたため、ゴールドは先週の安値から6%ほど急騰した後、本日下落し、1オンス1,900ドル辺りで取引されています。

予想外の上昇は仮想通貨で、ビットコインは、シグネチャー銀行の破綻にも関わらず、1週間で25%以上上昇しました。規制当局による預金者保護の政策発表は、仮想通貨トレーダーには吉報となり、本日ビットコインが25,000ドルレベルまで上昇するなど、デジタル通貨のサポートとなり、安全への逃避となった可能性があります。