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・FRBと米国財務省はSVB破綻に関して救済策を発表予定
・市場はFRB次回会合での大幅利上げを撤回し、利上げ見送りも視野に
・米株式先物は急騰、米ドルと米国債利回りは下落を拡大
SVB破綻とFRBの救済措置でFRB利上げ見送りも視野に
先週の金曜日、米ドルは他の主要外貨に対して下落し、本日も続落しています。
米雇用統計が先週末に発表され、雇用の伸びと同時に、失業率の上昇と賃金上昇の減速も明らかになりました。先週の議会でのFRBパウエル議長によるタカ派発言を受けて、市場は次回会合での利上げを0.5%へ上方修正しました。しかし、金曜日の失業率の上昇と賃金の減速により、利上げ率について再検討することになりました。
そして何よりも、シリコンバレー銀行の破綻により、米政府が銀行システムの安定のため、救助策を打ち出すとの報道で、米ドル下落が拡大しています。
この混乱とFRBの対応を受けて、市場は0.5%利上げ観測を撤回し、一部では、利上げ据え置きもあるのではと予想しているようです。FF金利先物によると、次回の会合で、市場は現在、70%が0.25%の利上げを支持しており、残りの30%は利上げ据え置きを予想しています。また、最終レートに関しても、4.95%まで引き下げ、年内までの利下げも価格設定に織り込まれています。
米株式先物は急騰、ゴールドも1ヶ月ぶりの高値を更新
シリコンバレー銀行の破綻で、米株式市場は先週金曜日、ハイテク株の多いナスダックが下落を牽引し、3つの主要指数全て1%以上下落しました。米国債利回りの低下とシカゴ・オプション取引所のボラティリティ指数が12月に更新した水準まで急上昇したことは、市場が株式ではなく、安全回避として、国債への投資に向かったことを示しています。
しかしながら、政府による緊急対応計画の発表により、市場の混乱も本日は緩和されているようです。米株式先物は強く反発し、本日開場直後から強い上向きを示して、金曜日の損失を回復していますが、ヨーロッパ市場の開場で新たに圧力がかかっているようです。
ゴールドも本日の開場直後から数分で1か月ぶりの高値まで急騰し、1,895ドルのレジスタンスに合った後、やや反落しました。米ドル下落と米国債利回りの低下、そして安全資産の流入とともに、ゴールドは先週金曜日に上昇しましたが、本日の反落は大規模なものではないようです。市場によるFRB利上げ観測修正が、米ドルと国債利回りに圧力となり、明日の米CPI指数発表までは、ゴールド上昇は続く可能性があります。
明日発表の米CPI指数発表に注目
現在の市場環境では、明確に長期的な見通しを予想することは困難ですが、とりあえず、明日の2月の米CPI指数の発表に注目が集まります。
総合CPI指数は前年比で6.4%から6.0%へ、コア指数は5.6%から5.5%に低下すると予想されています。原油価格の前年比下落がマイナス圏に落ち込んだことで、総合指数の著しい下落は通常よりも大きくなると見られています。そのため、市場は基調的なインフレ・ダイナミックスに、注意を払うべきでしょう。コア指数が予想以上に下落する場合、市場はFRB利上げ観測修正を確信し、米ドルは下落幅を拡大し、株価はもう少し回復する可能性があります。
しかし、ISMの企業調査によると、2月のインフレ圧力持続が指摘され、リスクが高まるかもしれません。ただ、CPI指数が予想外の上振れとなった場合でも、FRB利上げ観測を0.5%に上昇修正するまでにはいかず、持続的な米ドル復活の保証とはならないでしょう。