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・FRBパウエル議長は利上げの必要性を主張
・FRB大幅利上げ観測から米ドル上昇
・カナダ中銀は本日利上げ据え置きとの予想
・FRB議長のタカ派発言を受けて米株式市場は下落
FRBパウエル議長は利上げの引き上げと加速を示唆
昨日、米ドルは他の主要外貨に対して上昇し、本日も続伸しています。
ドル高の原因は、昨日のFRBパウエル議長の上院での議会証言によるものと思われます。議長は、今後の経済データがより厳しい行動を正当化する場合、インフレ抑制のために、積極的な行動を行うと発言しました。
予想以上に堅調な米経済を示すデータが続いたことで、既に、他のFRBメンバーは、今後の大幅利上げの必要性を述べています。しかし、昨日のパウエル議長の発言は、ディスインフレの過程を強調するのではなく、大きなステップへの可能性を示唆したため、市場はFRBによる大幅利上げ観測を高めました。次回の政策会合にて、0.5%の利上げの可能性は、30%から70%となり、最終レートは5.65%まで押し上げられました。
本日、パウエル議長は下院にて同じ証言を行う予定で、昨日の発言が繰り返される場合、米ドルは続伸するでしょう。しかし、FRBの大幅利上げ観測も下振れのリスクがあります。次回の会合前に、今週金曜日の米雇用統計と来週発表の米CPI指数の結果を吟味する必要があるからです。これらのデータが予想に反して軟調な場合、米ドル下落につながるでしょう。
本日政策発表のカナダ中銀は利上げ据え置きでカナダドル下落か
この米ドル上昇も、特にユーロに対しては持続的な上昇になるか、疑問が残ります。昨日発表されたECBの調査によると、ユーロ圏の消費者インフレは1月に低下し、賃金上昇への期待は依然として高まっている中、今後数か月間でインフレ加速につながる可能性があります。市場は、ECBが年内に合計で1.65%相当の利上げを行うと予想しています。
このため、ユーロ/ドルの見通しは、不透明なままです。おそらく、利上げ期待の高まりがリスクセンチメントを圧迫しているため、米ドルはリスク連動通貨に対して上昇するかもしれません。カナダの1月のインフレ減速と軟調な第4四半期のGDPにより、カナダ中銀は本日の政策会合にて利上げ据え置きと予想されています。この場合、米ドルは、ユーロよりもカナダドルに対して上昇するでしょう。
市場は現在、カナダ中銀による年内の利上げを0.25%と予想しています。そのため、本日の政策発表後の声明にて、カナダ中銀が利上げ据え置きを発表し、動向を見守ると言った傍観姿勢を示唆する場合、カナダドルは本日圧力を受けることになるでしょう。
米国債利回りの逆イールドで米株式市場は下落
パウエル議長のタカ派発言を受けて、世界の株式市場は下落しました。金利上昇が企業の収益性とバリュエーションの低下、そして米経済全体の景気後退を示唆するとの懸念から、特に米株式市場の主な指数はそれぞれ1%以上下落しました。これは、米国債の2年物利回りと10年物利回りのスプレッドが1981年以来の低水準まで低下したことでも裏付けされます。
短期利回りの急騰とドル高は、ゴールドにとって良い材料とは言えません。ゴールドは下落し、2月28日以来の回復全てが帳消しとなりました。ゴールドは、依然として200日間の指数移動平均を上回っていますが、それを下回る下落になる場合、ゴールドの弱気トレンドを引き起こす可能性があります。