デイリーマーケットコメントー次期日銀総裁の慎重姿勢から円安へ

投稿日： 2023年2月24日20時07分（JST）投稿. 詳細を読む JP Blog

・次期日銀総裁の植田氏の慎重姿勢で円安へ
・米ドルは続伸もゴールドは今年最安値辺りまで下落
・エヌビディアの株価高騰で米株式市場は黒字で取引

次期日銀総裁の慎重姿勢で円安

本日、最新の国内インフレレポートと次期日銀総裁の植田氏の発言を受けて、円安となりました。国内のインフレは1月にさらに上昇しましたが、植田氏が差し迫った政策の見通しに慎重な姿勢を見せたため、日本円はその恩恵を受けることができませんでした。

昨日の国会における所信調書にて、植田氏はインフレがピークに達し始めたと述べました。しかし、家計救済のための政府のエネルギー補助金の支給が始まるため、来月のインフレ率は軟化すると警告しました。全体として、インフレ加速が改善する場合に備え、政策正常化への道は開けておくとしても、供給主導のインフレに日銀は過剰反応すべきではないとの見解を示しました。

米・欧州の利上げ観測により、今月日本円はすでに圧力を受けており、この植田氏の慎重姿勢によって、さらに打撃を受けました。しかし、国内の賃金が上昇し始め、日銀は来月、政策の正常化への次のステップを踏み出し、円への売り圧力の一部を緩和するのではないかとの憶測が広まっています。

米ドルは上昇、ゴールドは下落

好調な米経済データの発表が続き、インフレ抑制のために、FRBによる利上げ継続の必要性が確実視され、米ドルは今週、高値で取引を終えるでしょう。市場価格は、今年の夏頃に最終レート5.35％に達し、大幅な利下げは来年に持ち越されると予想されています。

この利上げ継続観測から、米国債利回りは大幅に上昇したため、米ドルを押し上げました。1年物米国債は現在、リスクなしのリターンで5％以上の利益をもたらし、多くの投資家に魅力的な資産となり、米国に資金が流動しています。

一方で、利回りの上昇とドル高は、ゴールドにとっては良いニュースとはいえません。ゴールドは保有に利子を支払わず、通常はドルで価格設定されているため、債券利回りの上昇で、米ドルが上昇するにつれ、ゴールドの魅力は低下します。そのため、ゴールドは現在、今年の利益の全てを帳消しして下落しています。

エヌビディアの株価高騰から米株式市場は安定

米半導体メーカーであるエヌビディアの収益報告後、株価が14％以上上昇したため、米株式市場は、損失を補填し、昨日上昇して取引を終えました。しかしながら、今週は損失で取引を終えそうです。

現在株式市場には、好調な経済成長への楽観ムードに対して、さらなる利上げとインフレ加速への懸念といった、相反するセンチメントがあります。この反するダイナミックスにより、経済の強さを材料視する投資家と、最終的に打撃となる高金利の期間継続に警戒する投資家が存在します。

これは、株価のバリュエーションが既に割り引きされていることが問題と言えます。S&P500は収益の18倍で取引されており、収益が縮小し、利回りが上昇している中、米株価のリスクと報酬はあまり魅力的とは言えないようです。

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