デイリーマーケットコメントー米ドル続伸、英インフレ率減速でポンド急落

投稿日: 2023年2月16日18時56分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・予想以上に堅調な米小売売上高で米経済のソフトランディングへの期待高まる
・FRB利上げ観測で米ドル上昇
・英インフレ率減速で英中銀への圧力緩和によりポンド下落
・米株式市場は上昇もゴールドは続落

米小売売上高は2年ぶりの大幅増、米ドル続伸に

昨日、米ドルは他の主要通貨全てに対して上昇しましたが、本日はやや下落しています。

昨日の1月米小売売上高が大幅増となったことで、米ドル上昇に拍車をかけました。2か月連続で縮小した米小売売上高は、総合とコアともに力強く回復しました。特に、総合での売り高は過去2年で最も加速し、ここ最近の堅調な経済指標と相まって、米経済のソフトランディングへの期待が高まっています。そのためこの指標は、市場のFRBの利上げ観測を正当化することになりました。

米経済が景気後退を回避したと示唆されたことで、米ドル上昇はしばらく継続する可能性があります。しかし、来月21、22日に開催される米政策会合を前に、雇用統計やインフレデータなどの発表が続くため、長期的な回復を求めるのはまだ時期尚早と言えます。本日は、米生産者物価指数が発表されるため、この数値が減速を示す場合、市場は米経済を見直し、既存のロングポジションに利益を固定するかもしれません。

英インフレ率が予想以上に減速でポンド下落

一方英国では、CPI指数の予想以上の減速が示されたため、昨日、ポンドは米ドルに対し、最も下落しました。総合指数は前年比で10.5%から10.1%、コア指数は6.3%から5.8%に低下しました。総合指数は依然として2桁台ですが、コア指数の低下は、イングランド銀行の引き締め策の終焉への期待を高める数値となりました。

前回の会合で、イングランド銀行はそのガイダンスを「必要に応じて積極的に対応する」から、より持続的な物価圧力の証拠がある場合は引き締めが必要になると修正しました。ベイリー総裁は、この修正はインフレとの戦いのターニングポイントを反映していると述べました。

英経済の急激な景気後退のリスクは確かに低下していますが、依然として生活費への圧迫が深刻な状況であるため、そのリスクが消失するには程遠いと言えます。したがって、イングランド銀行は今後の行動において、迅速にすべきか、慎重にすべきか、難しい判断を迫られるでしょう。市場は現在、次回会合での0.25%の利上げを65%が支持していますが、35%は行動なしを予想しています。その後の会合では、イングランド銀行が利上げ停止とする前に、もう一度0.25%の利上げを行うかもしれないと予想しているようです。

FRBとECBの利上げ観測が高まる中、イングランド銀行は最も軟化姿勢と見なされ、ポンドは米ドルとユーロに対して、売りに脆弱になるといえるでしょう。

米小売売上高の大幅増で株価上昇もゴールドは下落

米株式市場では、小売売上高の力強い回復に恩恵を受け、特にハイテク株の多いナスダックが最も上昇しました。FRBのさらなる利上げと年内の利下げへの期待が高まる中、米国債利回りが上昇したにも関わらず、米経済の景気回復が示される限り、市場のリスク選好は高まるようです。

株式指数の見通しは中立を維持していますが、市場の最終レートは5%以上と予想され、収益予想が依然として引き下げられているため、株式指数が過去最高値に向かうとは考えにくいでしょう。反対に、中国再開を巡る楽観姿勢と予想以上に堅調な主要国の経済指標が、株式市場を後押ししているようです。

利回りの上昇とドル高、リスク選好の高まりは、ゴールドにはプラス材料ではないようです。ゴールドは昨日続落し、まもなく1.825ドルのサポートゾーンまで向かうかもしれません。このまま、昨年12月中旬に更新した1.775ドル領域まで下落する可能性があります。