デイリーマーケットコメントー本日発表の米失業保険申請件数に期待高まる

投稿日： 2023年2月9日19時30分（JST）投稿. 詳細を読む JP Blog

・パウエル議長らFRBメンバーの発言続く
・市場は現在最終レートでFRBの予想と一致
・本日の米失業保険申請件数と来週の米CPI指数で米ドル上昇なるか
・米株式市場は下落

FRBメンバー発言続くも最終レート予測は変化なし

今週火曜日のFRBパウエル議長の発言を受けて、米ドルは下落しましたが、昨日は他の主要外貨に対して安定しました。FRBメンバーが利上げの必要性を強調しているため、米ドルは一時的にもサポートを維持しているようです。

ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁は、需要と供給の不均衡を抑制するため、最終レートは5％から5.25％辺りが合理的だと述べました。また、金利政策が数年間は制限的な水準に留まることが必要であるとも付け加えました。一方、FRBウォーラー理事も賃金の伸びの鈍化はまだ十分でないとし、引き締めスタンスを維持する必要があると述べました。最もタカ派姿勢を見せたのは、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁で、データが示唆するのであれば、FF金利は5.4％かそれ以上にひき上げる必要があるとの見解を示しました。

これらの発言で、米ドルの下落は一段落しました。しかしFRBクック理事は、先月の堅調な雇用統計と賃金の伸びによって、ソフトランディングへの期待が高ったと発言しました。そして、失業率を大幅に増加させることなく、インフレ率を2％に戻すことができると述べました。この発言は、多くのFRBメンバーの見解に反し、制限的な政策なしにインフレに対処できると示唆したとも受け取れます。

現在市場は、その最終レートをFRBの予測に沿って5.13％と織り込んでいますが、同時に年末までの約0.35％の利下げも予想しています。

本日の米失業保険申請件数、来週の米CPI指数発表に注目

本日、米失業保険申請件数が発表される予定で、労働市場の堅調さの確認として、この指標に注目が集まるでしょう。失業件数が大幅に予想を下回る場合、FRBの利上げ継続が予想されるため、米ドルの復活にも影響するでしょう。

しかしながら、例え失業件数が下回り、米ドル買いが進んだとしても、米ドルの長期的回復にはまだ時期尚早と言えます。来週には、米CPI指数の発表が予定されており、この数値が予想以上に大幅に減速する場合、米ドルの下降トレンドを引き起こす可能性があります。先日、ドイツ中銀ナーゲル総裁とECBのシュナーベル理事が、タカ派姿勢で、ECBのより積極的な行動の必要性を述べたため、ユーロは対米ドルでおそらく1.0800以上まで上昇するでしょう。

アルファベット社株価下落は米株式市場に影響

米株式市場は、米ドルがあまり上昇していないにも関わらず、昨日3つの主要指数全てで下落しました。おそらく、一部のFRBメンバーのタカ派発言だけが、投資家のリスク回避の理由ではないようです。

実際、S&P500とナスダックは、グーグルの親会社アルファベット社の株価下落に影響を受けました。グーグルの新たなAIチャットボットであるバードが、ポロモーション用のビデオにおいて、間違った回答をしたことで、株価が7.7％下落しました。この件で、グーグルはライバルであるマイクロソフトに大きく差がついたとの懸念が高まっています。

しかし、米経済のソフトランディングへの期待が高まる中、市場はFRBの政策転換を予想しているため、株式市場はしばらく上昇する可能性があります。S&P500は、レジスタンスゾーンである4.155付近まで上昇し、8月16日の高値である4.325まで近づくかもしれません。

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