デイリーマーケットコメントーFRB軟化姿勢転換で米株価上昇、米ドルは下落

投稿日: 2023年1月23日20時32分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• FRBメンバーによる0.25%利上げ支持発言で米株価上昇
• 米ドルは日本円以外で下落
• ECBタカ派発言とPMI速報を控え、ユーロ上昇

FRBメンバーのによる小幅利上げ支持の発言続く

本日は、中国やアジアの主要市場が旧正月のため休場です。そのため、金曜日のリスクラリーは勢いを失い、静かなスタートを切りました。しかし、FRBメンバーからの軟化姿勢発言を受け、前向きなセンチメントが高まっています。

先週の脆弱な米小売売上高の発表後、米経済の景気後退懸念が広がりました。しかし、FRBメンバーのウォーラー理事が、次の会合での0.25%の小幅利上げを支持したことで、金利政策転換への期待が高まりました。

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も同様に小幅利上げを支持しましたが、カンザス連銀のジョージ総裁はサービスインフレのリスクを挙げ、やや慎重な姿勢を見せました。しかし、先週末に米国債利回りが上昇した背景には、依然として、さらなる引き締めが行われるというメッセージが明確なためかもしれません。しかし、市場はFRBメンバーの微妙な発言のトーンの変化に気づいているようです。

ウォーラー理事は、インフレの正しい方向への改善が確認された場合、政策方針を変更することに積極的な姿勢を見せました。ブレイナード副議長もインフレ圧力の後退を認めました。

次回会合での0.25%の利上げは、現在ほぼ完全に織り込まれています。そして、最終レートも市場が示唆する5%をわずかに下回るまでに落ち着く可能性があります。この方向が続く限り、リスク資産へのサポートにもなるでしょう。

ネットフリックス社とグーグル社がナスダック急騰に貢献

先週金曜日の米株式市場は、FRB軟化姿勢といくつかの企業の明るいニュースを受けて、急上昇しました。S&P500は1.5%上昇しましたが、先週の損失を完全に取り戻すまでには不十分でした。一方、ナスダック総合指数は2.7%急騰し、11,000レベルを超えて取引を終えました。

中でも、ネットフリックス社は新規加入者が予想以上に増加したため、8.5%まで上昇しました。また、グーグルの親会社であるアルファベット社が大規模な解雇計画を発表したことで株価が上昇しました。ナスダックは、ハイテク大手の収益報告がまだ発表されていないにも関わらず上昇しています。マイクロソフト社は明日に発表を控え、水曜日にはテスラ社の発表が続きます。

市場は楽観ムードと言えますが、今年は収益の後退が現実となる可能性もあるため、リリーフラリーで終わるかもしれません。しかし今のところ、ムードは良好で欧州株も本日上昇しています。

米ドルと日本円下落もユーロは上昇

市場のポジティブムードは、今後の政策見通しにより既に下落基調となっている米ドルや円等の安全資産を一段と下落させました。先週、日銀がイールドカーブコントロール政策の維持を決定後、円高の流れは鈍化した模様です。この動きにより、米ドルインデックスが若干上昇しました。米ドルは円を除く対主要通貨で下落し、7か月ぶり安値付近まで値を切り下げています。

ユーロ/ドルは、2022年4月以来初めて1.090ドル台越えを達成しました。ユーロ高の背景には、ECBメンバーのクノット・オランダ中央銀行総裁の発言がありました。ECBは、今後数回の0.50%の追加利下げの可能性がありますが、FRBは利上げの最終局面に入っているようです。ユーロ圏が景気後退を回避できる兆候が強まり、2023年のユーロの見通しは改善しつつあります。ユーロ高の見通しは、明日に発表されるユーロ圏1月PMI指数で試されるでしょう。

一方のポンドは、対米ドルで1.24ドルがレジスタンスラインとなっています。英国は他国よりも深刻な物価高危機に直面している為、消費が一段と鈍化しています。

本日、最も堅調推移した豪ドルは、対米ドルで0.70ドル台越えを達成しました。一方のNZドルは若干下落しています。アーダーン前首相の突然の辞任を受けて、市場は後任のピプキンス氏への慎重姿勢に若干傾いたようです。今週水曜日に政策会合を控え、カナダドルの上値も重くなっています。カナダ中銀の政策会合では、利上げの一時停止も選択肢として検討されているようです。