デイリーマーケットコメントーゴールド上昇、FRB議事録の公表を控え米株価下落

投稿日: 2023年1月4日19時34分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・ゴールド上昇、米ドルは重要な経済イベントを前に様子見
・中国政府による豪産石炭輸入再開への憶測から豪ドル上昇
・アップル社、テスラ社の株価下落から米株価下落

ゴールドは上昇気流

世界市場は、新年早々ナーバスなスタートを切りました。市場はゴールドや債券などのディフェンシブ資産への投資を増やす一方、株式や原油などのリスクの高い資産への投資を減らし、世界経済にとって困難になる年に向けて準備しているようです。

ゴールドは先日6か月ぶりの高値を更新し、堅調に推移しています。これは、利回りの急激な低下と米ドルの軟化、そして年明けといった季節的な要因に起因すると見られます。

景気後退、及び中央銀行の金融引き締め緩和に特徴づけられるマクロ経済情勢は、ゴールドにとって前向きな前兆であり、次なる障壁は1,875ドル辺りとなるでしょう。

米ドルは小幅下落、豪ドル上昇

為替市場にも警戒感が波及しています。日本円は今のところ極めて順調に推移しています。これは、世界的な利回りの低下、及び4月までに日銀がマイナス金利脱却のために最初の利上げを実施するとの憶測が背景にあると言えます。

一方で、米ドルは不安定な動きで、今年初めの堅調なスタートから本日小幅下落しています。本日、米ISM製造業景況感指数、及び12月のFBR議事録公表が控えており、市場は様子見していると言えます。

どちらも、流動性不足の市場に波紋を投じる重要な発表になるでしょう。米ISM 製造業指数は米経済の縮小を予期しており、FRB議事録公表で、FRBのターミナルレートについて、5%以上と見積もったFRBの見解を市場が受け入れなかったため、議事録からさらに議論に発展するでしょう。

そのほか、2020年に豪政府がコロナウィルスの起源を巡り国際調査支持表明後、中国政府が禁止した豪州石炭の輸入を再開検討との本日のレポートを受けて、豪ドルが上昇しました。石炭はオーストラリア最大の輸出品であり、中国が世界消費の半分を占めるため、この規制緩和で豪ドルへの需要も高まることになるでしょう。

テスラ社とアップル社株価下落で米株価も下落

米株価は、本日が年明け取引開始日ですが、アップル社とテスラ社の株価下落に牽引され、下落しています。アップル社株価は、需要が低下する中、サプライヤーに部品製造数の減産を支持したとのレポートにより3.7%下落し、テスラ社株価は四半期ごとの納車台数目標を下回ったため、12%下落しました。

一方で、欧州株価は急騰しています。ドイツとフランスのインフレ鈍化によって、ECBの利上げ鈍化に期待が高まり、欧州全域で株価が上昇しています。エネルギー価格の継続的な下落と共に、景気後退が比較的穏やかになるのではとの期待から、独DAXでは現在、過去最高値のわずか12%近くまで上昇しています。

米株価と欧州株価との決定的な違いは、バリュエーションの差によるものです。米株式市場は欧州よりも大手のプレミアム銘柄が支配します。この差は、過去10年間の欧州での成長傾向鈍化と、絶対的権力を誇るハイテク銘柄の欠如に要約されます。ただ、欧州市場が「公平な価値」に近く取引されているという事実は、世界的な売りモードの場合、欧州市場が下振れになるリスクが限定的になる可能性を意味しています。