デイリーマーケットコメントー年明け早々、日本円とゴールド上昇

投稿日: 2023年1月3日19時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・日銀のインフレ予測上方修正への憶測から円高へ
・ゴールドも上昇、今年のゴールド市場は明るい見通しでスタート
・米ドルと米株価上昇で、「すべて買い」モード

日銀のインフレ予測上方修正への憶測から円高へ

新年早々、金融市場は活気よくスタートしました。ゴールドや日本円といった金利に敏感な資産が上昇しています。市場は2023年を荒れ模様を予想しており、ポジショニングはかなりディフェンシブですが、依然として流動性不足のため、これらの動きは必ずしも信頼できません。

低流動性の環境での動きは、一般的に「雑音」であって「兆候」とまではいきません。薄商いでは、市場がニュースなしに動いたり、実際の見出しが通常よりも大きな影響を与えることがあります。

日銀が今月末の会合で、インフレ予測の上方修正を検討とのレポートにより、日本円が上昇しました。これによって、イールドカーブ・コントロール政策の調整にさらに道が開かれ、金利差縮小が円相場に有利に働くことになります。

全体的に、日本円は、昨年の雪辱後、今年の勝者になる可能性があります。昨年日本円は、他の中央銀行との金利政策の隔離、高騰するエネルギー費による貿易ショック、観光客不足といった要因により下落しましたが、復活の兆しを見せています。世界経済成長への懸念の中、日本円は安全資産として、再び復活する可能性があります。

ゴールド上昇で輝きを取り戻す

ゴールド価格は、新年早々1%上昇と堅調に推移しています。ゴールドは米ドル建てのため、米ドルの上昇はマイナス効果になりますが、今のところ上昇しており、実質利回りの後退から恩恵を受けています。

利回り以外にも、年明けはゴールドの需要に有利で、季節的な要因もゴールド上昇の背景にあります。先月、中国人民銀行がゴールドの保有増加というニュースがありましたが、世界の中央銀行のゴールド買いは別の要因である可能性があります。

低流動性の取引環境では、短期的な価格変動から結論を導くのは賢明ではありません。しかし、世界経済が後退するとの懸念、及び世界の中央銀行による金利政策緩和期待の中で、今年のゴールドの見通しは明るいようです。

「すべて買い」モード

新年早々、米ドル、債券、ゴールドそして米株式指数に連動する先物すべてが黒字で、市場は「すべて買い」モードのようです。これは、奇妙な現象で、市場の実際のムードを反映しているというより、低流動性での毎年のポルトフォリオ調整を反映しているのかもしれません。

為替市場では、米ドルと円の上昇が他の主要外貨の損失に換算されており、豪ドルとユーロに特に影響を与えています。独インフレの急速な減速により、ECBによる将来の利上げ鈍化観測を高めたため、ユーロの売りが始まったようです。

米株式市場は本日再開します。米先物は、テスラ社が四半期の販売目標を達成できなかったとのレポートにも関わらず、約1%の上昇を示しています。テスラ株価は、市場取引前にほぼ4%の下落を更新しました。

全体として、米株式のリスク、及びリターンは依然として未知数です。S&P500は依然として今年の推定収益の17倍で取引されています。これらの収益は、脆弱な経済指標に敏感であることを鑑みると、この数値は高いと言わざるを得ません。