デイリーマーケットコメントー中国コロナ感染急増と景気後退への懸念で米株価下落、米ドルは安定

投稿日: 2022年12月29日19時59分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・中国の経済再開への楽観ムードから新種コロナ拡大への懸念へ
・米株価は景気後退へ警戒感から続落
・主要通貨は横ばい推移、米ドルも安定

景気後退への懸念で株価続落

今月の各国中央銀行の金利政策発表後、株式市場は急落し続けています。FRBやECBといった中央銀行が来年の更なる利上げを示唆したため、債券市場は売りが進行し、利回りの上昇となり、リスク資産は再び打撃を受けています。

特に、FRBの金利引締めが米住宅市場に悪影響を与えていると市場が判断し、景気後退は不可避との懸念が高まっています。昨日発表された11月の米住宅販売が予想以上に大幅減少したことで、住宅市場への警戒感が高まりました。本日発表の週刊失業保険申請件数が悪化する場合、市場に新たな打撃となるでしょう。

中国の経済再開に暗雲

中国政府による旅行者への隔離措置撤廃決定は、ゼロコロナ政策終了を意味し、今週初め、市場のセンチメントを高めました。しかし、中国政府がコロナ政策の制限を時期尚早に解除した可能性があり、この動きへの楽観ムードも急速に薄れました。コロナ感染者が中国の各地域で急増する中、中国経済がどれくらいで完全に回復するのか市場は疑問視しています。それに加えて、中国の国境再開により、新種のコロナの世界へ蔓延への懸念が増大しています。

米国、日本、及びイタリアなど数か国では、すでに中国からの渡航者へのコロナ検査を義務付けています。特にイタリアが、今週月曜日以降の北京、及び上海からの渡航者のほぼ半数がコロナ陽性であったと発表したことで、警戒感はさらに高まっています。

米株価は年末に向けて2桁の損失へ

景気後退、及び中央銀行による金利引締めにより、不透明な経済成長の見通しの上、市場は、新たなコロナへの脅威とともに、中国からの情報不足の中で、真の感染被害規模を見定めなければなりません。

ポジティブなニュースがない中、米株価は昨日の上昇を維持することができず、下落で取引を終えました。株式市場は、大幅な損失で年を終わろうとしています。

S&P500は年間20%強の損失に向かっており、ナスダックは35%近く下落するでしょう。ダウジョーンズといった従来の株式市場は、過大評価されているテクノ株のように金利に敏感でないため、9.5%下落と比較的控えめと言えます。

今月の国債利回りの回復は、ナスダックへの大きな抵抗となっています。ナスダックは、10月13日の安値をまだ更新しておらず、昨日2020年7月以降の最安値で取引を終えました。

来年の米ドルへの方向性欠ける

米ドルは、このネガティブな株式市場のムードから恩恵を受けることはできませんでした。しかし、日本円やスイスフランといった他の安全資産は本日堅調です。

深刻な景気後退回避へのタイミングの合ったFRB利上げ政策緩和への市場の期待が薄まる中、米ドルはここ数週間、上昇する米国債利回りの反映を止め、横ばいで推移しています。米国債利回りの上昇は、今週の新規債券発行による可能性がありますが、更なる引き締めへの期待が主な上昇の要因です。