デイリーマーケットコメントー米消費者物価指数の結果で、株価下落、米ドル上昇

投稿日: 2022年9月14日18時39分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米消費者物価指数の強い結果で、FRBの大幅な利上げ観測上昇
  • ターミナルレートの上昇で、米株価下落、米ドル上昇
  • 日銀の為替介入への可能性示唆により、円は若干回復

米消費者物価指数結果による衝撃

昨日の米8月消費者物価指数の予想外に強い結果を受けて、米利下げペース鈍化への期待が後退し、世界市場全体の衝撃が広がりました。ガソリン価格の下落継続にもかかわらず、米8月消費者物価指数・前月比は下落予想に反して上昇し、前年比は8.3%増となり高水準の結果となりました。

最も重要なことは、価格変動の大きいエネルギー、及び食料価格を除いたコアの消費者物価指数が大きく上昇したことです。賃貸料、及び医療費上昇が顕著だったことから、インフレは広範囲に広がり、抑制は一段と困難となっていることが浮き彫りとなりました。

根強いインフレ、及び労働市場での完全雇用に近い状態の中、景気過熱に対応する為、FRBは一段と積極的な対策が必要になると市場は見なしているようです。現在、翌週のFOMC政策会合での0.75%の利上げの可能性は65%となっています。米8月消費者物価指数発表前には、全く予想されていなかった1%の利上げの可能性も浮上しています。

株価下落

翌週の米利上げ予想に加えて、市場ではターミナルレート予測も上昇し、現在では、翌年の第1四半期での4.3%の到達が予測されています。先週では、翌年の第1四半期でのターミナルレート予測は4%未満でした。ターミナルレート予測の急騰は、あらゆる市場に大きな圧力をかけています。

米株価も大きな打撃を受けて、ハイテク銘柄の急落により、S&P 500は4.3%値下がりしました。ハイテク銘柄のバリュエーションは今後の成長次第となる為、政策金利の影響を大きく受ける傾向があります。政策金利が引き上げられますと、現在の価値での成長見通しが低下し、査定の下落に繋がります。

バリュエーションへの影響に加えて、米金利が上昇すればするほど、企業収益に影響し、景気後退リスクも上昇します。最近の債券市場は、米経済が危険な局面に入っていることを示してきましたが、昨日の逆イールドの一段の拡大を受けて、警戒が強まりました。逆イールドは、経済成長の見通し悪化を示します。

米ドル上昇、円安定推移

金利差拡大、及び株式市場からの逃避先の安全資産の需要増加により、米ドルが最も上昇した通貨となりました。今年に入って、米ドルへの逃避が唯一の勝ち取引となっており、米利上げ政策が他国をリードし、世界経済減速見通しが継続する限りは、この流れは変わらないでしょう。

日本では、為替介入に備えた動きが見られました。日銀は口先介入から、過去の為替介入前に実施したレートチェックに動きを移しました。

今回の動きは、実際に為替介入を実施する前の日銀からの最終通達でしょう。現在の所、日銀の動きにより、円安に歯止めがかかっています。為替介入には非常に大きなコストが伴い、他国の協調がないと成功しない上に、逆効果となる可能性もある為、為替介入が実施されるかは疑問です。

本日に発表された英8月消費者物価指数は、強弱混合の結果となりました。市場の関心は、本日後半に発表される米8月生産者物価指数に向けられるでしょう。