デイリーマーケットコメントー円安加速、ユーロは一段高

投稿日: 2022年9月12日20時30分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 為替介入の期待後退で、円安加速
  • 光熱費の上限設定等のECBのエネルギー対策でユーロ上昇
  • 米ドル高一服、株価は上昇幅維持

円安再開

円安が止まりません。金利差拡大により、円は対米ドルで約25%下落しています。各国の中央銀行が急速に利上げを実施する一方で、日銀は利上げを実施しない方針の為、金利差は一段と拡大しています。そのため、高金利を求めて、日本から資金が流出し、円を押し下げています。

日本政府の為替介入の示唆は、市場では材料視されていないようです。過去の為替介入は、欧州と米国と協調して実施されましたが、今回は欧州も米国も、自国通貨を弱めて物価上昇圧力を強めることを回避したい為、日本と協調する公算は小さいでしょう。

単独での為替介入は、かなりの量の外貨を必要とするため、効果はあまり期待できません。失敗した場合には、機関投資家に新たなショートポジションの機会をあた得ることになる為、リスクを伴います。したがって、日銀の黒田総裁が最近の発言において、現行政策に変更はないことを示している為、翌週の日銀政策会合において、日本政府が為替介入に踏み切る公算は小さいでしょう。したがって、当面の間、円安が継続する見通しです。

ドル/円は、約25年前に跳ね返された147円台付近がレジスタンスとなっています。円安の流れを変えるには、政策変更により、日銀とFRBの金利差拡大が止まる必要があります。

ユーロ回復、米ドル下落

過去4セッションでは、ユーロ/ドルにポジティブな展開となっており、約3%上昇しました。欧州政府は、政府の借入金を使用して各家庭の光熱費の上限を設定し、エネルギー市場への介入の準備を進めているようです。

先週、ECBは0.75%の利上げ実施により、ユーロ安を阻止する決定をしました。ウクライナ戦争でのウクライナ軍の優勢ニュースも、ユーロのショートスクィーズの要因となったようです。

一方の米ドルは、年初からの米ドル高が一服したようです。欧州経済の見通しが若干改善した以外には、市場を取り巻く環境に変化は見られません。FRBは利上げ継続方針を明確に示しており、米ドルの代わる通貨もなく、米ドルの安全資産としての需要も継続するでしょう。

明日に発表される米8月消費者物価指数結果は、翌週のFOMC政策会合での方針に影響を及ぼすでしょう。

株価は上昇

先週の米株式市場では、中国の新たなロックダウン実施よりも、欧州エネルギー危機への懸念緩和が材料視され、S&P 500が3週間の下落から上昇に転じ、約3.5%値上がりしました。

株式市場は短期的に荒い値動きとなるでしょう。FRBは始めとする各国中央銀行は、インフレが抑制されるまで利上げを継続する見通しです。今月、量的緩和引き締めの規模は2倍となり、バリエーションは高値で継続し、欧州と中国のリスクにより、企業の決算も下振れリスクは現実になりつつあります。

本日には主要な経済指標発表は予定されておらず、唯一注目されるのは、GMT12:00のシュナーベルECB理事の発言になります。