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中国利下げで市場懸念緩和、しかしながらリスク継続
今週の荒い値動き後、本日の市場は落ち着きを取り戻しました。今週の米ドルは下落し、米株価の回復スピードは失速しました。米大手小売り業者の四半期決算が予想を大幅に下回ったことにより、米経済は利上げに十分耐える程の堅調さに欠ける可能性、及びスタグフレーションへの懸念が強まりました。サプライチェーンの混乱は、ハイテク産業にも影響を及ぼしています。米シスコシステムズが第2四半期の売上高減少見通しを明らかにしたことにより、シスコシステムズの株価は急落し、アップル株価も値下がりしました。
S&P 500は0.6%下落し、下落相場となりました。一方のナスダック指数は0.3%の下落に留まりました。
本日、中国人民銀行が貸し出し金利の指標となる最優遇貸出金利を引き下げた為、市場ムードが改善し、米主要株価先物指数が上昇しました。不動産市場を支援する為、中国人民銀行はローンプライムレートの5年物を市場予想を上回る4.45%まで引き上げました。ローンプライムレートの1年物は据え置かれたものの、中国人民銀行の本日の対応は株価上昇に繋がりました。
しかしながら、先週の米週次新規失業保険申請件数は3週連続での増加は、雇用鈍化を浮き彫りにし、米経済成長の見通しが疑問視されることになりました。インフレ抑制の為に利上げを実施した結果、FRBが景気後退を回避し、ソフトランディングを達成できるかに市場の注目が集まるでしょう。
今後の見通しが一段と明確になるまで、市場が敏感に反応し、ボラティリティが起こりやすい傾向が続くため、ソフトランディングの見極めには時間を要するでしょう。ブルームバーグによりますと、本日には1.9兆ドル規模のオプションが満期を迎えます。現在の市場は経済成長に反応しやすい為、米株式市場が荒い値動きとなる可能性があります。
米ドルとポンド上昇
本日の米ドルは今週の下落から回復し、米ドルインデックスは約0.2%上昇しました。インフレによる消費、及び企業収益への打撃が一段と明らかになった場合、米ドルは再び下落する可能性があります。
リスクオンムードにより、円は全面安となりました。日4月消費者物価指数は、7年ぶり高水準となる前年同月比2.1%増となりました。しかしながら、日銀が超緩和政策を変更する公算は小さいでしょう。
本日に発表された英4月小売売上高は、市場予想を上回りました。速報値、及びエネルギーを除く指数が予想以上に上昇したことから、予想よりも底堅い消費が浮き彫りとなりました。しかしながら、英5月GfK消費者信頼感指数は過去最低水準となり、今後の見通し悪化が予想されます。
最近のポンドの下落を鑑みると、今後調整の余地があり、本日のポンドは対米ドルで緩やかに上昇しました。
ECBメンバーは7月利上げに前向き姿勢を示しているものの、本日のユーロ/ドルは横ばい推移となっています。