デイリーマーケットコメントーデッドキャットバウンス後、株価下落、米ドル横ばい推移

投稿日: 2022年5月19日20時10分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • インフレによる企業収益への打撃で、S&P 5002年ぶり安値
  • 世界の株価下落は比較的限定的で、本日にはパニックの動きはなし
  • 米ドルの安定推移で、FXと債券市場も落ち着いたムードを回復

インフレによる収益への打撃で、米大手小売業者の決算は脆弱な結果

米小売大手ターゲットの決算では収益が激減し、インフレ高騰による企業収益への打撃が浮き彫りとなり、昨日の米株価は再び下落しました。ウォールマートに続いて、脆弱な決算結果となったターゲットの株価は、昨日に約25%値下がりしました。S&P 500は4%下落し、1日の値下がりでは2020年6月以来最大となりました。ナスダック指数は4.7%、ダウ工業株は3.6%下落しました。

今後、他の小売業者の決算結果も発表されますが、米株式市場にとって、一段のネガティブなサプライズとなる可能性があります。コスト急騰による企業収益の大幅な削減の現実を市場は認識しつつある一方で、サプライチェーンの混乱、及び供給不足の長期化への懸念が、投資家心理を一段と悪化させたようです。

既に3か月が経過したウクライナ侵攻は、解決の兆しがまだ見られません。したがって、ロシアへの制裁は継続する見通しです。更に、中国のロックダウンは最悪のタイミングで、サプライチェーンの混乱を悪化させました。

株価は下落したものの、パニックの動きはなし

更に重要なことは、中央銀行は利上げ以外にインフレを抑制する選択肢がないことです。今週、パウエル議長は、インフレが十分に下がるまで、利上げペースは緩めない方針を明らかにしました。

しかしながら、0.50%の利上げは7月で終了し、その後は0.25%に戻ると市場では見なされています。過去24時間に発表された他のFRBメンバーの発言も、市場の見解を後押ししています。

本日の株価は下落しているものの、利上げペース鈍化見通しが安心材料となり、株価は暴落にはなっていません。本日の米主要株価先物指数は、少なくとも1%の下落を示しています。

アジアでは、中国ハイテク大手のテセントが中国政府によるハイテク業界への規制緩和には時間を要するとの見解を明らかにした後、香港のハンセン指数は2.5%値下がりしました。

米ドル、ポンド、ユーロが下落、豪ドルは上昇

景気後退懸念により、国債利回りも下落が継続しています。本日の米ドルは下落し、円は強弱混合の動きとなりました。各通貨は、各国の経済状況を反映し始めているようです。

今年に入って、ポンドは主要通貨の中で最も下落した通貨となっています。堅調な労働市場とエネルギー価格高騰により、英経済はスタグフレーションリスクに直面しています。本日のポンドは回復し、対米ドルで1.2380ドルまで上昇しました。ユーロも若干上昇し、ECB政策会合の議事録発表を控え、対米ドルで1.05ドル台を試す展開となっています。議事録では、量的緩和の早期終了、及び利上げが示される可能性があります。

株式市場のリスク回避の流れにもかかわらず、本日の豪ドルとNZドルは大きく上昇しました。景気後退懸念、及び豪4月雇用統計の予想を下回る結果にもかかわらず、利上げ観測により、豪ドルは上昇しました。

NZドルは、中国のロックダウン緩和によって押し上げられたようです。