デイリーマーケットコメントー株価回復、パウエル議長の発言、及び米経済指標に注目

投稿日: 2022年5月17日19時27分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 中国規制緩和への期待が香港株価上昇させ、アジアと欧州の株価も上昇
  • 4月小売売上高とパウエル議長の発言控え、米株価と米ドルは様子見ムード
  • 英雇用統計の予想を上回る結果でポンド上昇、しかしながらベイリー総裁の発言への反応は限定的

中国政府の規制緩和期待で、中国テック企業の株価上昇

中国政府の諮問機関が大手テック企業の経営者との協議後、中国政府がデジタル経済規制を再検討の動きを見せた為、本日のアジア株価は急騰しました。中国政府による規制強化を受けて、過去1年間の中国大手テック企業の株価は下落しています。

世界の金融引き締めの動き、及び中国の主要都市でのロックダウンを受けて、中国経済は一段の困難に直面していることから、中国政府はテック産業の支援に前向きになる可能性があります。

本日の協議が中国大手テック企業にとってポジティブな結果となる期待、及び規制緩和の兆しを背景に、多数の中国テック企業が上昇する香港のハンセン指数が大幅に値上がりしました。本日のハンセン指数は3%上昇し、アジア太平洋地域の株価は3日連続での上昇となる見通しです。

JPモルガンチェースの分析において、複数の中国インターネット企業の株価の見通し改善が見られたことも、株高の追い風となりました。

市場ムード改善で株価回復

ロックダウンの影響が反映し、中国経済指標の脆弱な結果で昨日の株価は下落したものの、本日の株価は上昇に転じました。

欧州株式市場は強弱混合でのスタートとなったものの、本日には回復の動きが強まり、米株価も同様に上昇が予想されます。

昨日のS&P 500、及びナスダック指数は、先週金曜日の上昇の一部を失い、下落しました。市場全体のリスクオンの流れにより、本日のEミニ先物指数は大幅に上昇しています。

過去数日間の国債利回りは僅かに下落し、米利上げ観測上昇も落ち着きつき、株価を下支えしているものの、市場は経済失速を懸念しているようです。

GMT12:30に発表される米4月小売売上高は、個人消費の判断材料として、市場の注目が集まるでしょう。本日の米市場の開場前には、ウォールマートの四半期決算も発表されます。したがって、株価回復の継続は、小売売上高、及びウォールマートの四半期決算結果次第となるでしょう。

米ドルの下落、及び英雇用統計の強い結果でポンド上昇

市場のリスクムード改善により、米ドルの上値が重くなりました。米ドルインデックスは、約1週間ぶり低水準まで低下しました。安全資産の円も全面安となりました。本日、ニューヨークのウォールストリートジャーナルのイベントにおいて、パウエル議長がインフレについて発言予定です。パウエル議長は、最近の発言内容と同様の見解を示す予定ですが、インフレのリスク拡大を強調した場合、債券市場と米ドル相場のボラティリティ上昇に繋がる可能性があります。

本日にはポンドが最も上昇し、次いで豪ドルとNZドルも上昇しました。本日に1.22ドル付近でスタートしたポンド/ドルは、英雇用統計の予想を上回る結果を受けて、1.25ドル台に向けて急伸しました。失業率は48年ぶり低水準となる3.7%まで改善し、平均時給は前年同月比7%上昇し、労働市場の堅調さが浮き彫りとなりました。

物価上昇が始まったばかりの為、ポジティブな見通しは継続しない可能性があります。英経済指標の強い結果は、イングランド銀行による一段の金融引き締めの余地があることを示しました。

昨日の英下院財務委員会において、イングランド銀行のベイリー総裁は、物価高は破滅的であると表現し、景気後退、及び物価上昇による影響に深刻な危機感を示し、市場を驚かせました。過去数週間のポンドの下落幅を鑑みると、本日のポンド上昇は調整の動きに過ぎないでしょう。