デイリーマーケットコメントー米ドル下落、FOMC会合控え株価回復

投稿日: 2022年3月16日20時21分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 本日、FRBの利上げの模様、最新のドットプロットに注目
  • 世界の株価回復、ユーロも回復
  • ロシアはデフォルトリスクに直面、独政府の予算案に注目

FOMC政策会合に注目

本日、市場ではFRBによる利上げが広く予想されています。0.25%の利上げは完全に織り込まれており、市場の関心は、パウエル議長の記者会見での発言内容、バランスシートの詳細、及び最新のドットプロットに向けられるでしょう。

前回のドットプロットでは年内3回の利上げが予想されていましたが、現在、市場では年内7回の利上げが予想されています。したがって、ドットプロットが上方修正される公算が大きいでしょう。市場は、FOMCが示す年内利上げの回数に注目するでしょう。

市場では4回、或いは5回の利上げが大方の見方ですが、6回の利上げの議論もあります。堅調な労働市場、及び消費回復を背景に、米経済は力強い成長を見せています。コモディティ価格高騰により、インフレの長期化も予想されています。

利上げへのタカ派的発言は米ドル高に繋がり、物価上昇圧力を鈍化させるだけでなく、積極的な利上げを回避できる可能性もあり、まさに一石二鳥です。インフレが前年比で二桁の伸びに向けて上昇する中、今後の利上げ方針について、FRBがリスクの観点からタカ派的な見解を示すのは当然の流れでしょう。

今後3回のFOMC政策会合において、市場は既に4回の利上げを織り込んでいる為、FRBが市場の予想を超えることは容易ではないでしょう。年内6回の利上げ、及び利上げ幅拡大の示唆は、市場予想を超えるでしょう。

株価とユーロ回復

市場全体のムードは、改善しています。エネルギー価格下落、ウクライナとロシアの停戦協議での進展期待、或いは中国政府による追加刺激策の示唆のどの要因が影響しているかは不明ですが、市場のムードを改善させたようです。

国債利回り上昇の継続にもかかわらず、欧州株価はウクライナ侵攻前の水準までほぼ回復しました。中国の劉鶴副首相は、経済成長促進の為、資本市場にとって好ましい政策措置を打ち出す方針を示しました。これにより、ハイテク株中心に株価が回復し、香港市場は9%上昇して引けました。

ロシアのデフォルトリスクにもかかわらず、ユーロ回復

本日の外国為替市場では、ユーロが大きく回復し、対主要通貨でも上昇しました。ウクライナ情勢に大きな進展がないことを鑑みると、ユーロの回復は奇妙です。エネルギー価格の下落、及び独政府が示唆した公共支出拡大の方針がユーロ上昇に繋がった可能性があります。

本日、独財務相が2026年までの国家予算案を公表する予定です。国防費、及びクリーンエネルギーの予算引き上げは、既に明らかになっています。ユーロの問題は、欧州圏の景気後退見通しは強まっており、米国よりも景気後退の可能性が高いことは明白です。翌週に発表されるユーロ圏3月PMIにおいて、米経済とユーロ圏経済の違いがより明らかになるでしょう。

現在の所、リスクはロシアのデフォルトになります。本日、ロシア政府は、期限を迎える米ドル建ての国債の利払いをルーブルで支払う方針を示しています。約束と異なる通貨で支払われた場合、事実上のデフォルトと見なされる可能性が高く、30日間の猶予期間が設定されます。この場合、金融市場全体に連鎖反応を引き起こす可能性、及び誰が影響を受けるかに市場の注目が集まるでしょう。