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ウクライナとロシアの外相協議を控え、慎重ながらも楽観ムードが若干上昇
本日には、ウクライナとロシアの初めての高官レベルの協議が予定されており、市場では楽観的ムードが若干上昇しました。トルコで実施されるウクライナとロシアの外相の協議では、双方が交渉に向けて協調する可能性があり、進展の兆しが期待されています。
最近のロシア政府側の発表内容から判断しますと、ロシア側はゼレンスキー政権の転覆は既に断念している模様です。ウクライナのゼレンスキー大統領も、NATOに加盟しない可能性を示唆しています。
しかしながら、マウリポリ等のウクライナの都市は、依然としてロシア軍の激しい攻撃に晒されています。本日、停戦に向けた合意に至らない場合、一段と激しい攻撃へのリスクが上昇するでしょう。
市場では、本日の協議が停戦に向けた本格的な展開への期待を上昇させ、昨日の株式市場では外交的解決への期待がショートスクィーズを引き起こし、株価が上昇しました。
欧州株式市場が特に上昇し、独DAX指数の終値は約8%上昇しました。ユーロ・ストックス50指数は、7.4%値上がりしました。米株式市場は、ナスダック指数が最も上昇し、3.6%値上がりしました。
アジア株式市場は、本日になって上昇しました。一方、本日の欧州株価、及び米主要株価先物指数は、主要イベントを控えて、昨日の上昇幅の一部を失い、下落しています。
ECBが金融正常化プランを先送りする可能性?
本日には、GMT12:45のECB政策会合、及びGMT13:30の米2月消費者物価指数発表にも市場の注目が集まるでしょう。
ウクライナへの軍事侵攻は、コモディティ価格を急騰させ、インフレを一段と上昇させました。
米2月消費者物価指数は。前年比7.9%増が予想されています。本日のウクライナとロシアの外相協議で進展があった場合、米2月消費者物価指数の強い結果によって、米ドルが急騰する公算は小さいでしょう。
同様に、ECB政策会合でハト派的見解が示されても、外相協議での進展があった場合には、ユーロ回復に繋がるでしょう。
ユーロ圏経済はロシアへの厳しい経済制裁による影響を受ける為、ECBが資産購入プログラムの終了時期を延期する可能性もあります。しかしながら、過去数か月間のユーロ圏内のインフレは大幅に上昇している為、ECBが予想外にタカ派的方針を示す可能性もあります。
リスクムード回復により、昨日のユーロは大幅に回復し、対米ドルで1.10ドル台を超えました。ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドルも回復しましたが、上昇幅は限定的でした。米ドルは、他の安全資産と同様に下落しました。
原油価格再度上昇、ゴールドは2000ドル台割れ
市場のリスクオンムード回復により、利益確定売りの動きが広がり、ゴールドは2000ドル台を割り込みました。今週、米国債利回りが大幅に上昇したことも、ゴールド下落に繋がったようです。
しかしながら、昨日の最大のサプライズは、原油価格の急落でした。ロシア産原油の輸入禁止による供給不足を補う為、アラブ首長国連邦が増産を提案し、原油価格は12%以上値下がりしました。
アラブ首長国連邦の駐米大使がOPEC加盟国メンバーで初めて増産の意向を示しました。しかしながら、サウジアラビアが支持しない限り、増産は困難でしょう。
OPECによる増産を期待するには時期尚早の為、原油先物は再び上昇に転じました。イランとの核合意に向けた協議が大詰めを迎える中、ロシアへの経済制裁がロシアとイランの協力関係を損ねないという保証を要求しました。ロシア側の土壇場での要求も本日の原油価格上昇要因となったようです。